マーケティングプロセスの順番と手順をフォトスタジオ事例で解説

マーケティング手法を覚えても、いざ本番でどの順番で使えばよいのか?分からなければ、身に付いたとは言えません。例えば、顧客がどんな人で、何を考えて、何を欲しているのか分からないまま、製品価格や販売場所を決めても意味がありません。すばらしい製品を作っても、正しいマーケティングの順番で実施しないと、順調には売れないのです。

マーケティングの流れを覚えて、正しくマーケティングのフレームワークを使いこなせるようになりましょう。

マーケティングプロセスとは

マーケティングプロセスとは、マーケティング全体の流れのことです。

コトラーが提唱するマーケティングマネージメントプロセス「R・STP・MM・I・C」をベースに考える場合がほとんどで、市場調査・STP分析・マーケティングミックス(4P分析)・実施・管理の順番で行われます。

目次

マーケティングプロセスの順番

マーケティングプロセスの流れ

マーケティングの基本ステップは、大きく分けて5つ。正しい手順を踏むことが大切です。

例えば、STP分析の前に市場調査を行わないと、情報が不足して、正しく現状分析ができません。

ステップ名称
市場調査Research
STP分析Segmentation Targeting Positioning
マーケティングミックスMarketing Mix
実施Implementation
管理Control

市場調査(Research)

自社の製品やサービスを作る前に、ニーズがどれくらいあるか?競合他社がどんな製品を出しているのか調査します。

STP分析(STP)

市場調査を元に、現状分析を行います。STP分析は、年齢・性別・ライフスタイルなどの軸で、市場を細分化し、自社のターゲットを細分化した市場から選び、他社との差別化を明確にします。

顧客を深く知ることで、顧客が頭の中で何を考えているのか?どのような製品を提供することで、あなたの製品を購入したいと思ってもらえるのか?理解できます。

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マーケティングミックス(MM)

マーケティングミックスは、4P分析とも呼ばれており、4つのP「Product(プロダクト)」・「Price(プライス)」・「Place(プレイス)」・「Promotion(プロモーション)」を用いて現状分析を行うフレームワークです。

  • 製品(Product)がユーザーニーズを満たすものかどうか?
  • 製品の価格(Price)は適正かどうか?
  • 販売する場所(Place)や、販売方法は適正か?
  • 他社の広告方法を知り、自社プロモーション(Promotion)をどう行うか?

4つの課題全てを適正に組み合わせることが重要です。

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実施(Implementation)

市場調査と現状分析を行ったあとは、計画とKPI(目標設定)を立てて、実施します。

特に、目標設定は大切です。電話での問い合わせを増やしたいのか?インスタのフォロワーを何人増やしたいのか?インターネットでの売上を上げたいのか?目標設定がないと、目標のために何が必要なのか分かりません。

管理

実施したあとは、KPIと実施結果を比較してどこがうまくいかなかったのか?を解析し、改善を行い、管理します。

  • 年間計画コントロール:売上管理、市場シェア
  • 収益性コントロール:製品の収益性(地域・顧客・製品ごと)
  • 効率性コントロール:広告成果、流通コスト
  • 戦略コントロール:戦略の見直し

例えば

・毎月の売上と経費の管理表

・顧客属性ごとの売上分析

・広告からの申込数管理表

・KPIの達成度確認

・戦略見直し会議

などの実施を行います。

マーケティングプロセスの事例(フォトスタジオ)

弊社が運営する「フォトスタジオ」を例に、マーケティングプロセスを紹介します。

市場調査(Research)

スプレッドやエクセルなどの表計算ソフトで、下の表のような市場調査シートを作成します。(表は、説明のために簡略化しています。)

出店地域(同区内)のフォトスタジオをネットで調べて、シートに記入すればOKです。

名前規模撮影ジャンル顧客像
Aスタジオ全国チェーン・ショッピングモール出店スタジオ撮影・衣装無料レンタル・七五三30代ファミリー・カジュアル
B写真館老舗写真館・スタッフ5名スタジオ撮影・家族写真・証明写真30代ファミリー・フォーマル
C撮影スタジオ個人経営・夫婦カメラマン出張撮影・ロケーション得意・衣装なし20代ファミリー・ベビー・キッズ撮影
D写真館個人経営・カフェ併設コスプレ向けレンタルスタジオコスプレーヤー・アマチュアカメラマン
Eレンタルスタジオレンタルフォトスタジオ・20坪プロカメラマン向けスタジオ貸し出し・商用(テレビ局・Youtube)カメラマン・メディア

調査内容の例

  • 規模、店舗場所
  • 顧客像(年齢、家族構成、ライフスタイル、撮影知識)
  • 撮影ジャンル
  • 商品ラインナップ
  • 価格帯
  • プロモーション(方法、キャンペーン内容)
  • SNS有無、フォロワー数

調査すると、

「この地域は、大手のフォトスタジオが少なくて出店しやすい。」「大手のフォトスタジオは、キッズの七五三撮影に力を入れているので、別のジャンルがいい。」「ロケーション撮影をしている個人スタジオが人気なので、ロケーション撮影は需要が高そう。」

「他社顧客のインスタを見ると、外で子供のポートレート写真をアップしている。おしゃれ感度が高く、子供をモデルとしていろんな撮影シーンを求めている。モデルに成りきれるシチュエーション撮影専門のスタジオにするのも手だ。」

などの現状と、他社との差別化ができる製品サービスの形が見えてきます。

店舗を立ち上げたあとも、このシートを見ながら戦略の見直しを図ることができます。

STP分析(STP)

市場調査シートを元に、顧客の特徴ごとにカテゴリー分けし、どんな市場ニーズがあるのか?を明確にします。どのニーズを攻めるのか市場を決め、最終的には、競合と差別化した立ち位置を決めます。

Segmentation:セグメンテーション

まず、先ほど紹介した市場調査をもう一度見てみましょう。

名前規模撮影ジャンル顧客像
Aスタジオ全国チェーン・ショッピングモール出店スタジオ撮影・衣装無料レンタル・七五三30代ファミリー・カジュアル
B写真館老舗写真館・スタッフ5名スタジオ撮影・家族写真・証明写真30代ファミリー・フォーマル
C撮影スタジオ個人経営・夫婦カメラマン出張撮影・ロケーション得意・衣装なし20代ファミリー・ベビー・キッズ撮影
D写真館個人経営・カフェ併設コスプレ向けレンタルスタジオコスプレーヤー・アマチュアカメラマン
Eレンタルスタジオレンタルフォトスタジオ・20坪プロカメラマン向けスタジオ貸し出し・商用(テレビ局・Youtube)カメラマン・メディア

他社フォトスタジオの顧客の特徴を見ながら、どのような需要があるかを明確にします。

上の表から、顧客の特徴ごとの表を作成します。需要の高さも、表に加えます。こうすることで、どのようなニーズがあるか分かります。

テーマ特徴年齢性別需要
キッズインスタで子供の写真をアップ
子供の年齢4~10歳
撮影はプロに任せたい
30代ファミリー
キッズインスタで子供の写真をアップ
子供の年齢6~12歳の女の子
子供の写真やファッションにこだわる
キッズモデル応募
30代既婚女性
キッズ行事を大切にしている
記念撮影は欠かせない
フォーマルな服装で撮影
30代ファミリー
ベビーマタニティフォトをしたことがある
ニューボーンフォトで記念を残したい
家族の時間を大切にしている
20代ファミリー
カメラカメラが趣味
ポートレート撮影会に参加
50代独身男性
コスプレ撮影した写真をTwitter投稿
コスプレ衣装を自作する
コスプレにお金を使う
20代独身女性
アイドル推しのアイドルやアニメキャラがいる
推しの誕生日を祝う仲間がいる
推しグッズをたくさん集めている
20代独身女性
仕事プロカメラマン
テレビ局等のメディアに所属
仕事以外ではカメラを使わない
30代既婚男性
Targeting:ターゲティング

セグメンテーションで、どんな市場が存在するか洗い出したところで、その中から自社のターゲットを決めていきます。

例えば、コスプレをターゲットに選んだ場合、

市場調査を見ながら

  • 競合がいない、あるいは弱いか
  • 需要があるか(ニッチすぎない)
  • 自社の強みを活かせるか

を確認します。

Positioning:ポジショニング

自社のフォトスタジオの立ち位置を明確にします。

例えば、ターゲットをコスプレにしたのであれば、同地域内で「コスプレフォトスタジオ」といえば、〇〇スタジオ(自社スタジオ)と言われるようになることが目標になります。

また、同じコスプレスタジオでもポジショニングを

・コスプレ初心者向けスタジオ

・パーティスペースでゆっくり過ごせる

など、自社の特徴を活かす方法を探し、ターゲットに向けて、自社の強みをアピールします。

また、コスプレスタジオに強いライバルがいて、トップを穫れないのであれば、ポジショニングをずらす必要があります。

マーケティングミックス(MM)

マーケティングミックスは、顧客(STP分析で決めたターゲット)に対して、4つのPがニーズを満たしているかを一つ一つ確認していきます。

  • 製品(Product)がユーザーニーズを満たすものかどうか?
  • 製品の価格(Price)は適正かどうか?
  • 販売する場所(Place)や、販売方法は適正か?
  • 他社の広告方法を知り、自社プロモーション(Promotion)をどう行うか?

製品(Product)がユーザーニーズを満たすものかどうか?

コスプレ衣装に着替えるための更衣室を準備する。鏡を設置する。
ライバルスタジオよりも、多くのシチュエーション撮影が可能にする。
長時間、撮影しやすい環境にするため、テレビ、ゲーム、ソファを配置する。

製品の価格(Price)は適正かどうか?

長時間撮影をすることが多いので、お得な長時間パックを準備する。
ライバルスタジオに比べて、5時間パックを3000円安く設定し差をつける。
今後の採算性を確認しながら、価格改定も念頭に置く。

販売する場所(Place)や、販売方法は適正か?

予約サイトを利用する予定だが、手数料が高い。
自社サイトでの集客を行い、自社決済も導入する。
全国コスプレスタジオでは、現金払い決済が多いので、現金払い導入も検討する。

他社の広告方法を知り、自社プロモーション(Promotion)をどう行うか?

Twitterで活動しているコスプレーヤーさんが多いので、Twitterで集客やキャンペーン告知を行う。
利用者の写真をリツイートする。

実施(Implementation)

スタジオ立ち上げのスケジュールを作り、ホームページやSNSアカウント作成を行う。立ち上げ前には、KPIを立てる。

管理(Control)

実施して、毎月ごとに

  • 売上・経費管理表
  • 広告改善
  • SNSのインプレッション・フォロワー数推移
  • 経路ごとの申込数
  • 問い合わせが多い問題の解決

を作成またはチェックをして、改善活動を行います。

R・STP・MM・I・Cを実行するメリット

マーケティング手法を正しい順番で実施することで、製品・サービスの開発や実施、改善をより計画的に行えます。特に市場調査から現状分析を行うことで、需要のある事業の中で、なおかつライバルとの差別化が図れるので事業の失敗も減るでしょう。

マーケティングを学んだまま、マーケティングの活用方法が分からない方は、まずは、架空のビジネスをシミュレーションして、マーケティングプロセスをしっかりと覚えましょう。

すでに事業を行っている方は、マーケティングプロセスを活用し、戦略の見直しを行いましょう。最初からうまくいくことは稀ですから、改善活動により、自分がやりたかった理想の事業に近づけてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

岩永圭一のアバター 岩永圭一 アルル制作所

2003年にECサイト「ウェディングアイテムドットネット」を立ち上げ、手作り結婚式を応援。2005年デザイン会社を設立。2社を譲渡後、2021年にアルル制作所を立ち上げ、オウンドメディア運営代行『記事スナイパー』を開始。webメディアの記事代行を行っている。これまで立ち上げた事業は、中古ドメイン販売・キーワードツール・バー専門ホームページ制作・記事LP制作・レンタルスペース・撮影スタジオと多岐にわたる。

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