ピサの斜塔が倒れない理由をやさしく解説|どう支えられているのか

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ピサの斜塔は世界的に有名な観光名所ですが、「なぜ倒れないのか」を知ると見学がもっと面白くなります。ここでは建設の経緯や地盤の特性、力学的な工夫、そして行われた補強工事や監視体制まで、現地で役立つ観点を交えてやさしく説明します。見学前に読めば、塔のどこを見ればその秘密が見えてくるか分かりますよ。

目次

ピサの斜塔がなぜ倒れないのか

ピサの斜塔 なぜ倒れない

ピサの斜塔は見た目よりもずっと複雑なバランスで立っています。傾いているけれど倒れない理由は、重心の位置や地盤の性質、補強工事、そして継続的な監視が組み合わさっているからです。これらが相互に働いて塔の安定を保っています。

重心が基礎の内側に収まっている

塔全体の重心が基礎の範囲内にあることがまず重要です。斜めに傾いて見えても、塔の中心となる重心が支持される範囲から外れていなければ転倒は起きにくくなります。ピサの斜塔は高さ約56メートル、各層の重量配分や鐘楼上部の重さを考慮して建てられており、傾斜が進行しても重心が完全に外れるまでは倒れません。

塔は円筒形で壁が厚く、内部の空洞部分と外壁の重量バランスが取られています。傾きが進むと上部構造の位置を微妙に調整することで重心の位置が変わり、倒れにくい「座り」の状態を維持してきました。見学時には塔の入り口付近と上部のアーチの配置を観察すると、どのあたりに重心があるのかイメージしやすくなります。

地盤の柔らかさが揺れを和らげる

塔が建っているピサの地盤は砂、泥、粘土が混ざった比較的柔らかい層です。この柔らかさは一般に沈下を招きやすい性質ですが、その一方で地震など短時間の揺れを伝えにくく、振動を減衰させる働きがあります。固い地盤なら揺れが鋭く伝わり倒壊につながる場合がありますが、柔らかい地盤はエネルギーを吸収しやすいため塔にかかる瞬間的な力を和らげます。

ただし柔らかさはリスクも抱えます。長期間の不均一な沈下が傾きを拡大させる原因になるため、地盤そのものの管理と補強が不可欠です。現地では塔周辺の地盤状態に合わせて排水や補強の対策が行われ、沈下の進行を抑える工夫がされています。

1990年代の補強で安全余裕が増した

1990年代に実施された大規模工事で、塔は傾きの進行を止めるだけでなく角度を少し戻すことに成功しました。工事では塔の土台の一部に手を加え、重心の再配分や地盤の安定化を図りました。結果として過去より安全余裕が増え、観光客が再び上部に入れるようになりました。

この工事は塔を持ち上げるような単純な改修ではなく、微妙な調整と段階的な作業の組み合わせでした。塔の外観や歴史的価値を保ちながら安全性を確保するため、材料や工法の選定が慎重に行われました。見学時には工事で取り付けられた補強部材や基礎周りの処理跡に注目すると、どこが改修されたか分かります。

常時モニタリングで小さな変化を検知する

塔の安定を保つには定期的な観察が欠かせません。現在は傾斜角や地盤沈下、微小な変形などを計測するセンサーや測定点が多数設置され、日々のデータが収集されています。これにより小さな変化を早期に捉え、必要な対策を取ることが可能になっています。

測定結果は専門家が解析し、異常があれば速やかに対応策を計画します。観光客にとっては、塔の開放状況が変わることがありますが、それは安全を最優先にしている証拠です。見学の際は表示やスタッフの案内に従ってください。

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傾きが生まれた経緯 建設と地盤の背景

ピサの斜塔 なぜ倒れない

ピサの斜塔の傾きは偶然と当時の条件が重なって起きました。建設方法や地盤、さらに工事の中断と再開が重なり、現在の特徴的な姿になりました。背景を知ると当時の技術と悩みにも思いをはせられます。

建設は12世紀に始まった背景

斜塔の建設は1173年に始まりました。ピサ共和国としての勢威を示すための大聖堂複合の一部で、鐘楼としての機能を持たせる計画でした。当時の石材や資金、労働力の確保は容易ではなく、工事は長期にわたって断続的に進められました。

建築技術は高かったものの、現在のような地盤工学は未発達で、設計は経験と慣習に基づいていました。塔は徐々に高さを増していく中で地盤の挙動に対する知見が十分でなかったため、初期段階で傾きが生じても元に戻す手段が限られていました。そうした時代背景が現在の姿に繋がっています。

軟弱な粘土層の上に建てられた

塔の下にある地層は砂や泥、粘土が交互に重なったもので、地下水位の変動にも敏感です。こうした地盤は荷重がかかると不均一に圧縮されやすく、建設中でも片側だけ沈むことが起こり得ます。ピサの斜塔ではまさにそのような地盤条件が傾きの主因になりました。

地盤改良の技術が未熟だったため、建設当初は深い基礎や均一な支持を得る手段が限定されていました。結果として塔は片側をより深く沈ませた状態で成長し、特徴的な傾斜を持つに至りました。

工事の中断が不均一な沈下を招いた

塔の建設は何度か長期間中断されました。資金や戦争、疫病などが原因で工事が止まり、その間に地盤が沈下して塔の一部が落ち着いてしまいました。中断後に工事を再開すると、既に傾いた状態に合わせて上部を積み上げる必要があり、塔全体が曲がるような形で成長しました。

この段階的な建設は結果として塔の傾斜を増幅させることになりましたが、同時に異なる時期の層ごとの施工方法の違いが塔の強度に影響を与え、今の見た目になっています。実地で層の厚みや石材の種類を観察すると、各期の違いが読み取れます。

ガリレオにまつわる伝説と史実

ガリレオ・ガリレイがピサの斜塔から物体を落として落下の法則を確かめた、という話は有名です。伝説として語られることが多いのですが、史料には確実な証拠が少なく、研究者の間では議論があります。確かにガリレオはピサでの観察や実験を行った記録があり、塔が彼の観察対象になった可能性は高いとされています。

見学時にはこの話を思い出し、塔の高さやアーチの形状、鐘楼の設計などを観察すると、当時の学問と建築が交差する場だったことを感じ取れるでしょう。

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力学と構造から見た安定の仕掛け

ピサの斜塔 なぜ倒れない

塔の安定には単に重さを支えるだけでなく、建物全体の構造的な配慮が関わっています。層ごとの重量配分や材料の使い方、そして支持基底との関係が重要です。これらを理解すると「なぜ倒れないのか」がさらに明確になります。

重心と支持基底の関係

建物が倒れるかどうかは重心の位置と基礎が受ける反力の範囲に依存します。重心が基礎の投影範囲を超えると転倒力が働きやすくなりますが、塔の場合は円形の基礎と厚い壁面が働いて、重心が基礎内にとどまるように設計されています。傾斜が進むと反力の分布が変わり、基礎の一部により大きな力がかかるため、その部分を補強することでバランスを回復します。

観察ポイントとしては基礎に近い外壁の亀裂や沈下の痕跡、内部の柱の配置などを確認すると、支持の仕組みが見えてきます。

階層ごとの重量配分がバランスを作る

斜塔は複数の層からなる構造で、各層の厚みや石材の種類が異なります。下部はより厚い石造で重く、上部は軽めの構造になっています。こうした段階的な重量配分が、傾いても重心が極端に偏らないように働いています。

さらに上部の鐘楼は内部空間が大きく、空気の抜けやすさを含めて全体の挙動に影響します。観光で上るときは層ごとの床や壁の違いに注目すると、建築的な工夫を感じ取れるでしょう。

現在の傾斜角と安全マージン

斜塔は歴史的に傾斜角が変化してきました。1990年代の工事によって約5度前後あった傾斜が少し戻され、現在は安全性を考えた角度で落ち着いています。専門家は倒壊の危険が低くなるよう管理しており、観光で上がる際の人数制限や入場規制も安全対策の一部です。

塔の角度を数十年単位で追うことで、どのくらい進行が抑えられているかを確認できます。現地の案内表示や博物館の解説パネルで最新情報をチェックしてみてください。

地震波が塔に与える影響の軽減

地震が起きたとき、地盤と建物の特性が振動の伝わり方を左右します。ピサの柔らかい地盤は長周期成分を吸収しやすく、短周期の強い揺れを塔に直接伝えにくい面があります。さらに塔自体の質量と円形断面が振動を分散させるのに役立ちます。

とはいえ地震は予測不能な面もあるため、塔周辺では耐震的な配慮や緊急時の避難計画が整備されています。見学時には避難経路を確認しておくと安心です。

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行われた補強と現地での対策

ピサの斜塔 なぜ倒れない

過去から現在にかけて多様な補強が行われ、塔の保存が続けられています。工事は歴史的価値を損なわないよう配慮され、同時に安全性を高める工夫がなされています。どのような作業が行われているかを知ると、見学がもっと深く楽しめます。

1990年代の大規模安定化工事の内容

1990年代の工事は約10年以上をかけた計画的な作業でした。塔を一時閉鎖し、精密な測定と段階的な作業で傾斜の進行を止め、角度を若干戻すことに成功しました。工事では地盤の一部を掘削したり、塔の土台に介入したりする方法が用いられました。

同時に塔全体のひずみを監視しながら少しずつ調整を加えたため、歴史的な外観を大きく損なうことなく安全性を確保しました。博物館や案内板で当時の写真や工程が紹介されているので、見学時に確認すると面白いです。

地盤の一部を掘り下げて傾きを修正した方法

工事では塔の非傾斜側の地盤を慎重に掘り下げることで傾きを是正しました。これにより塔はわずかに反対側へ戻る力が働き、長期的な安定が得られました。作業はミリ単位で管理され、掘削量や順序が厳密に決められていました。

掘削は地下水や土質の影響を受けやすいため、排水管理や土の支持方法も並行して行われました。現地の説明ではこの手法のリスク管理と監視体制についても紹介されています。

鋼索や重りで角度を調整した仕組み

補強の一環として塔に鋼索をかけ、外部から引っ張るような力を用いて動かないようにした時期もありました。また塔基礎に重りを置くことで重心を調整する方法も採られました。これらは一時的な措置として、より根本的な地盤処理と合わせて使われました。

こうした外部からの力による制御は、塔にかかる応力を均等化し、急激な変動を防ぐ役割を果たしました。見学の際に、当時設置された機器の跡や固定具の痕跡を探すのも興味深いでしょう。

継続的な監視と定期点検の体制

現在は傾斜角や微小変形を常時監視する体制が整っており、定期的な点検が行われています。測定データは専門チームが解析し、異常があれば即座に対応する仕組みです。さらに観光客の安全のための人数制限や入場時間の管理も日常的に運用されています。

また保存・修復作業は文化財保護の観点から慎重に計画され、必要に応じて限定的な作業が行われます。見学前に公式情報をチェックすると点検や工事の影響で入場制限が出ているかどうか分かります。

ピサの斜塔が今後も残るために大切なこと

塔を未来へ残すためには、技術的な管理だけでなく資金や人材、観光客のマナーも重要です。保全作業と観光のバランスを取りながら、歴史的価値を守っていく取り組みが続いています。

まずは定期的な点検やモニタリングの継続が必要です。地盤の挙動は長期間で変化する可能性があるため、継続的なデータ収集と解析が安全管理の基盤となります。次に修復や補強を行う際は、歴史的な外観を尊重しつつ最新の工法を適用することが求められます。余分な改変を避けながらも、効果的な補強を組み合わせる作業が続きます。

また観光客側の配慮も大切です。塔内での人数制限や導線に従うこと、遺構を傷つけない行動をすることが将来の保存に寄与します。見学の際はスタッフの案内や表示を守り、写真撮影などで過度に構造に触れないようにしてください。これらの積み重ねが、ピサの斜塔を次の世代へ残す力になります。

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この記事を書いた人

アルルのアバター アルル アルル制作所 取締役

世界中を旅するクリエイターのアルル。
美しい風景、素敵なショー、現地ツアーをとことん楽しむ旅行情報を発信。一人でも多くの人に親子旅や女子旅を楽しんでもらえるよう、世界の素敵な風景やスポットをご紹介。
アルル制作所 岩永奈々が運営。

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