サグラダファミリアがなぜ完成しないのか?設計・資金・技術のリアルをたどる

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サグラダファミリアは、見上げるたびに新しい発見がある大聖堂です。長年にわたる未完成の理由や変遷、工法や資金の問題まで知ると、塔や彫刻を見る目が変わります。ここでは歴史や技術、運営の面から、現地での見学に役立つポイントを交えてやさしく解説します。

目次

サグラダファミリアがなぜ完成しないのか

サグラダファミリア なぜ完成しない

サグラダファミリアは単に工期が長いだけでなく、設計の複雑さや資金、歴史的な中断などが重なってきたためです。初期の石工技術に頼る部分と近代的な構造解析の統合が必要になり、その調整に時間がかかってきました。20世紀のスペイン内戦では図面や工房が破壊され、多くの設計資料が失われたことも大きな影響を与えています。

また、工事は寄付を主な資金源としているため、収入の波により作業が断続的になりました。観光収益が重要な資金源となる現在でも、保存と新たな建築を両立させる法的・技術的な調整が求められます。加えて、ガウディの独特な曲線や有機的なデザインは、伝統的な直線的図面だけでは伝わりにくく、職人の手作業と最新技術の両方を組み合わせる必要があります。

見学時には、完成に至るまでの「時間の厚み」を感じられるはずです。部分ごとに異なる石や施工方法、彫刻のタッチの違いを見比べると、長年の試行錯誤と進化が見えてきます。

設計が極めて複雑で工期が長い

サグラダファミリアは、複数の塔、曲線を多用したファサード、内部の樹状支持など、建築構造として高度な設計が求められる建物です。ガウディは自然から着想を得た曲面や傾斜を多く取り入れ、これを石造建築で実現するには細かい加工と精密な組み立てが必要でした。

そのため各部分は段階的に造られ、支保工や型枠の設計、石材の選定などが個別に検討されます。さらに高度な構造解析や荷重計算が近代になってから導入され、当初設計との整合を取る作業が増えました。結果として一箇所を進めるにも多くの段取りと検証が必要になり、工期が長引く要因になっています。

見学の際は、内部の支柱が樹木のように枝分かれしている様子や、光の取り入れ方の違いに注目すると、構造設計の苦労や工夫が伝わりやすいです。

ガウディの図面が一部失われている

ガウディ没後、特に1936年のスペイン内戦時に多くの資料が焼失しました。模型や図面の一部が失われたため、後続の建築家たちは残された断片や写真、当時の記録を手掛かりに補完していく必要がありました。

この図面の欠落は設計の一貫性を保つ上で大きな課題となりました。同じデザイン意図を理解して継承するために、研究者や建築家が長年の議論を重ね、ガウディの思想を再構築していきました。その過程で解釈の違いが生じ、工事の進め方に影響を与えることもありました。

見学時には、昔の資料がない中でどのようにデザインが継承されてきたかを意識すると、現在の造形がより興味深く映ります。

建設費が寄付中心で安定しない

サグラダファミリアの建設は当初から寄付や献金で賄われてきました。教会や信徒からの寄付、そして20世紀後半からは観光客の入場料が主要な収入源になっていますが、寄付は景気や社会情勢に左右されやすく、安定した資金流れを確保するのが難しい時期がありました。

資金が不足すると熟練職人の確保や大きな工事の発注が遅れ、工事が間欠的になります。逆に観光収入が増えると改修や新規建設が進むため、観光の波に工期が左右される側面もあります。現在はチケット収入や寄付、グッズ販売で大規模な計画を進めていますが、長期的な資金計画が重要です。

見学時はチケット購入が直接工事の支援につながることを覚えておくと、参拝や観光の意味が深まります。

内戦や中断で工事が停滞した歴史

20世紀前半のスペイン内戦はサグラダファミリアにも深刻な影響を与えました。工事は中断され、工房や図面が破壊されたことで長期間の再開が遅れました。戦後は復興のための資材や人材確保にも時間を要し、工事の継続性が損なわれました。

さらに、政治状況や行政の方針変更が工事の進め方に影響し、計画の見直しや承認手続きに時間を取られることもありました。このような歴史的な中断が、予定より長い工期につながっています。

訪れる際は、戦争や社会変動が建築に与えた影響を思いながら、失われた部分と残された仕事ぶりを見比べると印象が変わります。

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長い歴史の中で変わった設計と工事の流れ

サグラダファミリア なぜ完成しない

サグラダファミリアは長い時間をかけて形を変えてきました。初期の控えめな設計から、ガウディの大胆な改訂、さらに彼の死後に続く世代が加えた解釈まで、設計思想が何度も更新されています。そうした変化は石材や彫刻のタッチ、塔の形状などに反映されています。

現代では保存と新築のバランスを取りながら、最新技術を取り入れて効率的に工事を進める体制になっています。時間をかけて築かれた層が建物の表情に現れているため、見る場所によって違った時代の息遣いを感じられます。

建設の始まりと最初の設計意図

建設は1882年に始まり、当初は比較的伝統的なゴシック様式の延長線上として計画されていました。最初の設計者はフランシスコ・デ・パウラ・デル・ビリャールで、直線的で秩序あるプランが描かれていました。

しかし、ガウディがプロジェクトに関わるようになると、設計は大きく変容しました。彼は自然の形態を取り入れ、構造自体を装飾の一部にするアプローチを採りました。そのため、初期設計の理念と比べて表現の幅が広がり、構造と美術の融合が進みました。

見学時は古い部分と新しい部分の接合部を探すと、時代ごとの設計思想の違いがよくわかります。

ガウディが加えた独自のデザイン要素

ガウディは垂直方向の伸びや光の取り扱い、自然からの模倣に重点を置きました。内部の柱は樹木の幹と枝を模した形になっており、荷重を分散する設計で空間に広がりを与えています。ファサードには宗教的な物語を象った彫刻と幾何学的なパターンが組み合わされ、細部まで意味が込められています。

彼は模型を多用して形状を検証し、鋳型や石の割り付けを工房と密に調整しました。こうした方法は伝統的な図面中心の設計とは異なり、手仕事と直感を重視する面がありました。そのため再現には職人の技能が不可欠です。

ガウディの工夫を感じたいときは、内部空間で光が差し込む瞬間や、ファサードの細かな彫刻に近づいて見るとよく伝わります。

ガウディ没後に残された課題と解釈の違い

ガウディが1926年に亡くなった後、彼の意図を継承する作業が続きましたが、資料の欠落や解釈の差で課題が生じました。設計図が不完全な箇所では、後の建築家たちがガウディの美学を解釈し、補う必要がありました。この過程で意匠や構造の細部に違いが出ることがあり、論争のもとになることもありました。

また、技術の進歩によりガウディの手法を現代的に置き換える選択も発生し、保守か革新かという議論が続きました。こうした議論が工事の進行に影響を与え、時には設計の見直しにつながりました。

見学時に案内表示や音声ガイドで「誰がいつ手を加えたか」を確認すると、各時代の工夫を読み取る助けになります。

近代以降の復元と保存方針の変化

20世紀後半からは保存の観点が強まり、古い部分の補強や汚損除去、構造の補修が進められました。同時に新しい塔やファサードは当初の意匠を尊重しつつ、現代の耐震や安全基準を満たす必要がありました。

保存方針は時代とともに変わり、修復手法や使用する材料の選定にも慎重な検討が加わるようになりました。職人の技術継承や新旧の材質の接合方法も議論され、耐久性を担保しながら景観を保つことが求められています。

訪れる際は、工事中の箇所に掲示されている説明を読むと、どのような配慮で修復や建設が行われているかが分かります。

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建築技術と工法が抱えた大きな課題

サグラダファミリア なぜ完成しない

サグラダファミリアの工事には、古い手仕事と新しい技術をどう結びつけるかという課題が山積みでした。特に塔やアーチの施工、彫刻作業、設計図の空白補填など、現実の現場で細かい調整が必要な事柄が多かったのです。

現代では3DスキャンやCNC切削、コンピュータ解析を導入して以前より精度よく進められるようになりましたが、それでも手作業に頼る場面が多く、熟練した職人の技が不可欠です。保存と新規建設を両立させる上での安全性確保も引き続き重要です。

塔やアーチの複雑な施工難易度

塔は非常に高く細い部分が多く、荷重や風圧に対する安定性を確保する必要があります。特に螺旋状の塔や複雑な断面を持つ部分は型枠の精度が求められ、施工ミスが許されません。アーチや曲面の組み立ても同様で、石やコンクリートの割り付けと接合面の処理に高度な技術が必要です。

さらに、既存の構造体と新しい要素を連結する際には耐久性や伸縮、微小な変形を考慮した納まりが求められます。そのため現場では綿密な測定と段階的な検証が行われます。

見学では、塔の基部や接合部の処理に注目すると、どのように負荷を分散しているかが見えてきます。

彫刻や石工の手作業に頼る部分の負担

ファサードや内部の彫刻は手作業が多く、石の表情や彫りの深さには職人ごとの差が出ます。高度な彫刻は時間と手間を要し、意匠の再現性を保つために熟練工が必要です。大量生産的なアプローチは難しく、個々の彫刻に合わせた加工が続きます。

こうした手作業中心の工程は工期延長の一因になりますが、同時に建物に独特の温かみと表情を与えています。ガウディが重視したディテールは、やはり職人の手によってこそ生きる部分が多いです。

彫刻をじっくり見る時間を設けると、職人ごとの技の違いや時代ごとの手法の変化が楽しめます。

設計図の空白を補うための3D技術導入

図面の欠落や不明瞭な箇所を補うために、近年は3Dスキャンやモデリング技術が積極的に使われています。現存する部分を点群データで取り込み、過去の写真や模型と照合して欠けた設計意図を再現する手法が採られています。

これにより石の切断精度や型枠の設計が向上し、効率的に加工・施工が行えるようになりました。しかしデジタル技術だけでは表現しきれない彫刻のニュアンスは職人の手で補う必要があり、デジタルと手仕事の協調が重要です。

見学の際は、ツアーや展示で3Dモデルの紹介があれば合わせて見ると、建物の成り立ちが理解しやすくなります。

保存と新規建設を両立させる必要性

古い構造を傷めずに新しい部分を付け加えるには細心の注意が必要です。振動や荷重の変化による既存部分への影響評価、材料の相性、気候による劣化を抑える対策など、多くの検討が求められます。

また、観光で多くの人が訪れる環境を維持しながら工事を進めるスケジュール調整も重要です。来訪者の安全確保と工事の効率化を両立させるため、作業時間帯や防護措置に細かい配慮が施されています。

見学者は工事区域を守るための柵や案内に従うことで、保存活動に協力できます。

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資金と法的対応が工事に与えた影響

サグラダファミリア なぜ完成しない

建設費と法的な手続きは工事の進行に直接影響します。寄付の波や観光収入、土地利用や都市計画との調整、さらには違法建築疑惑への対応などがあり、関係者間の合意形成にも時間がかかりました。これらは工事の停滞や設計変更の背景にある重要な要素です。

観光収入が増えた今でも、法的な承認や周辺環境との整合性を取る必要があり、行政との折衝は継続的に行われています。見学時にはそのような調整がどう反映されているかを意識すると、建物の置かれた状況がよりよく分かります。

寄付収入の波で工事が断続的になった過程

長年にわたり寄付に依存してきたため、経済状況の変動が工事の進行を左右してきました。不況期には資金が減り、人員削減や工事の先送りが行われることがありました。一方で観光収入が増えた時期には一気に進展することもあり、こうした波が工期の長さに影響しました。

現在はチケット収入が大きな比率を占め、訪問者が増えることで直接的に建設支援につながっています。ツアー参加や寄付の方法を知っておくと、観光が維持に役立つ点も理解できます。

観光収入が資金源として果たす役割

入場料やミュージアムショップ、音声ガイドの販売など観光関連の収入が建設費の大部分を支えるようになりました。これにより安定的な資金調達が可能になり、大規模な工程を計画的に進められる環境が整いつつあります。

ただし観光収入に依存する構造は、観光需要の変化や外的ショックに弱いため、長期的な資金繰りの多様化も検討されています。来訪することで資金支援につながる仕組みを知っておくと、訪問の意味が深まります。

違法建築に関する指摘とその解決策

過去に一部の建築部分が法的基準や都市計画との整合性で指摘を受けたことがありました。これを受けて、設計の見直しや追加の行政手続きが必要になり、工期に影響が出たことがあります。行政との協議を通じて安全基準や高さ制限などを満たすように調整が行われました。

現在は建築許可の取得や周辺住民との合意形成に注力し、透明性を高めることで問題の再発を防いでいます。見学時に掲示される許認可に関する案内を確認すると、どのような配慮がされているかが分かります。

行政や関係者との合意形成に要した時間

巨大プロジェクトであるため、都市計画や交通、景観保護、宗教的側面など多方面の利害調整が必要でした。これらの合意形成には多くの会議や公開討論を要し、計画が遅れる一因となりました。特に周辺住民の生活環境との調整は慎重に行われ、工事時間帯の制限や騒音対策などが合意事項に含まれます。

見学者は案内表示やスタッフの指示に従うことで、こうした調整が保たれていることを実感できるでしょう。

完成見通しと今訪れる価値

近年は技術の進歩と資金基盤の強化で完成に向けた具体的な工程が進行しています。塔の建設やファサードの仕上げ、内部の装飾の充実が計画されており、完成年の見直しも何度か行われていますが、観光収入の増加と技術導入によって着実に前進しています。

訪れる価値は大きく、現在の段階でも多様な時代の職人技や建築思想を一度に楽しめます。光の差し込み方、彫刻の細部、柱の構造などをゆっくり観察すると、長年の歴史と努力を感じられます。チケット購入や寄付が建設を支えることもあるので、訪問の際は周辺の説明を読むかガイドを利用して、その背景を知るとより深く楽しめます。

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この記事を書いた人

アルルのアバター アルル アルル制作所 取締役

世界中を旅するクリエイターのアルル。
美しい風景、素敵なショー、現地ツアーをとことん楽しむ旅行情報を発信。一人でも多くの人に親子旅や女子旅を楽しんでもらえるよう、世界の素敵な風景やスポットをご紹介。
アルル制作所 岩永奈々が運営。

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