Affinityを徹底解説!【写真編集編】Canvaと連携できる無料ソフト「アフィニティ」

Affinityは無料で使える「プロ品質」の写真編集ソフト
写真を思い通りに編集したいけれど、高額なソフトや複雑な操作は避けたい。
そんな人に今注目されているのが、Affinity(アフィニティ)という写真編集ソフトです。
イギリスのSerif社が開発したAffinityシリーズは、Photoshopのような高機能を備えながら、直感的で軽快な動作が特徴です。
しかも、2025年にCanvaグループに加わったことで、デザインとの連携性が大幅に強化されました。
つまり「写真を編集 → そのままCanvaでデザインに使う」という、これまで別作業だった流れが一気にシームレスになったのです。
SNS投稿、ネットショップの商品画像、ポスター制作など、あらゆる用途で効率的に活用できます。
2025年10月にCanvaに統合されたAffinityの中でも、今回は特に「写真編集」機能に焦点を充てて徹底解説していきます。
1. Affinityとはどんなソフト?
Affinityは、画像編集に必要なすべての機能──レイヤー編集、非破壊加工、RAW現像、マスク、AI選択、ICCプロファイルなどを搭載しています。
操作画面はシンプルながらもプロ水準の精度で、細かい色調整や光のコントロールも思いのままです。
「難しいソフト」ではなく「使いながら覚えられるソフト」という点が、多くのクリエイターから支持されています。
しかも動作が軽く、起動も早いため、パソコンのスペックに左右されにくいのも魅力です。
もちろん、AI機能も搭載されているのが嬉しいポイント。なんと、Affinityの中で、Canva AIが使えます。
使い方も簡単です。上のメニューで「Canva AI」をクリックし、プロンプトを右に入れて「生成」ボタンをクリックします。
今回は「美しい湖、美しい花、美しい光、プリンセス」と入力してみました。プロンプトは、自動的に英語に変換され、1分ほどで美しい画像が出来上がります。
今回はこの画像を使って、写真編集の機能を解説していきます。

2. Canvaと連携できるのが強み
Affinity最大の魅力のひとつが、Canvaとのシームレスな連携です。
たとえば、Affinityで作った画像をそのままCanvaにエクスポートし、チラシやSNSバナー、LP(ランディングページ)などのデザイン素材として使うことができます。
ファイルを保存して別アプリで開き直す必要はなく、クリックひとつでCanva上に反映されるのです。
これにより、編集からデザインまでの流れが驚くほどスムーズになります。
たとえば、
– Affinityで明るさや色味を整える
- 仕上げた写真をCanvaで文字や装飾を追加
- 完成デザインをSNSやショップに投稿
という一連の作業が、ひとつの流れで完結します。
これまで別々のソフトで行っていた「編集」と「デザイン制作」が、1クリックでつながる。この連携こそ、今のクリエイティブ環境を大きく変えるポイントです。
3. Affinityの特徴を一言で言うと?
高額なライセンスが不要。しかも、プロと同じ仕上がりが手に入る。
Affinityは「無料」でここまでの機能が使えるという点で、これまでの常識を変えました。
複雑な設定やサブスクリプション契約が不要で、パソコンにインストールするだけで本格的な編集が始められます。
しかも、レイヤー構造・非破壊編集・RAW現像・ICCプロファイル対応といったプロ向けの要素をすべて搭載。
つまり、初心者でも“プロの土台”で作業できるというわけです。
4. Affinityでできること一覧
ここからは、実際にAffinityでできることを具体的に見ていきましょう。
どんなジャンルの写真にも応用できるよう、機能ごとに整理しています。
- レイヤー編集(素材を重ねて自由に構成)
- 非破壊編集とライブフィルター(安心してやり直せる)
- ブレンドモード(光と影の表現)
- 曲線・レベル・色補正(写真の質感を整える)
- 修復ツール・クローンスタンプ(不要物を除去)
- 覆い焼き・焼き込み(光で立体感を出す)
- Liquify・メッシュワープ(形の微調整)
- エッジワークスペース(髪の毛の切り抜き)
- マスク・チャンネル編集(細部の選択調整)
- RAW現像・ICCプロファイル対応(高品質な色再現)
- グリッチ・照明エフェクト(作品としての演出)
では次は、これらの機能をひとつずつ詳しく解説しながら、「実際にどんな編集ができるのか?」を具体例つきで紹介します。
5.Affinityの主要機能
1. レイヤー編集|素材を自由に重ねる
Affinityの基礎となるのが「レイヤー」の考え方です。
レイヤーとは、透明なシートを何枚も重ねるように、写真・文字・図形などの要素を別々に管理できる仕組みのことです。

たとえば、
– 背景写真の上に帯やロゴを置く
- 写真の上に文字を重ねる
- 光の効果をさらに足す
このようにレイヤーを分けておくと、後から「文字だけ変更」や「背景を差し替え」も簡単です。
SNS投稿や商品ページのデザインを作るときに、とても役立ちます。
しかも、Affinityではレイヤーの数に制限がありません。
小さなロゴの修正から、大型広告の複合画像まで、自由に構成を組み立てられます。
2. 非破壊編集とライブフィルター|安心して試せる
Affinityでは、すべての編集が「非破壊的」に行えます。
つまり、元の画像データを壊さずに加工できるということです。これはとても便利ですよね。

たとえば明るさを調整しても、後から「やっぱり最初の状態に戻したい」と思えばすぐ元通りにできます。
これは「調整レイヤー」という仕組みで、変更が別レイヤーとして記録されるからです。

また「ライブフィルター」では、ぼかしやゆがみ、影の効果などをリアルタイムでプレビューしながら調整可能です。
「完成してから違った」とならず、見ながら納得できる編集ができます。

初心者の方でも「いろいろ試して、気に入ったところで止める」だけでOKです。編集作業のストレスを感じにくいのが大きな魅力です。
3. ブレンドモード|光と影をデザインする
写真を「少し幻想的に」「立体的に」見せたいときに活躍するのがブレンドモードです。
Affinityでは30種類以上のブレンドモードがあり、レイヤー同士の重ね方を変えることで光のかかり方を調整できます。

たとえば、
– 「スクリーン」:明るく柔らかく
- 「乗算」:影を濃くして深みを出す
- 「オーバーレイ」:コントラストを高めて印象的に
SNS投稿写真では、オーバーレイでコントラストを上げるだけで、プロのような引き締まった印象に仕上がります。
風景写真なら、空や海の部分にグラデーションを加えることで“光が差し込む”ような表現も可能です。
🎨 主なブレンドモード(実際には30種類以上あり)
最も基本的なのが「通常(Normal)」です。これは何の効果も加えない標準の重ね方です。
「ディザ(Dissolve)」は、ランダムな粒子状の効果を加え、ざらっとした質感を演出するモードです。
次に、明るいトーンを作りたいときに便利なのが「スクリーン(Screen)」「加算(Add)」「比較明(Lighten)」といった“明るく系”のモードです。これらを使うと、光を差し込んだような柔らかい仕上がりになり、夜景や逆光の写真に向いています。
一方で、影を深くしたりコントラストを強めたいときは「乗算(Multiply)」「焼き込みカラー(Color Burn)」「比較暗(Darken)」といった“暗く系”のモードを使います。これらは写真に重厚感を出したいときや、背景と被写体をなじませたいときに効果的です。
より立体感を出したい場合には、「オーバーレイ(Overlay)」「ソフトライト(Soft Light)」「ハードライト(Hard Light)」といった“コントラスト系”のモードが活躍します。光と影のバランスを強調し、立体的で印象的なビジュアルに仕上げることができます。たとえばポートレートの肌や風景の空に使うと、プロのような質感が得られます。
色そのものを操作したいときに便利なのが、「色相(Hue)」「彩度(Saturation)」「カラー(Color)」「輝度(Luminosity)」といった“色系”のモードです。これらは明るさや質感を保ったまま、色だけを変更することができるため、全体のトーンを統一したいときに最適です。
Affinityのブレンドモードはどれを選んでも、キャンバス上でリアルタイムに結果を確認できるライブプレビュー機能が働きます。
つまり、「このモードにするとどう見えるか」を確認しながら選べるため、初心者でも安心して試せるのが大きな特徴です。
Affinityではこれらのモードを選んだ瞬間に、リアルタイムでキャンバス上に反映される=ライブプレビューが行われます。
つまり「選ぶ前に結果を見ながら試せる」仕様になっています。
4. 曲線(カーブ)|RGBを自在に操る
「曲線(カーブ)」は、画像の明暗や色のバランスを細かく調整できる機能です。グラフのような線を上下に動かすことで、写真全体のトーンを変化させます。

たとえばこのような編集ができます。
– 人物の写真で明るさを少し持ち上げて、やわらかい印象に
- 青空の写真で青チャンネルを強め、空をより澄んだ色に
- 夜景写真でコントラストを高めて、光を際立たせる
AffinityではRGB全体だけでなく、赤・緑・青それぞれのチャンネルを個別に操作できます。
「少し青を足す」「影だけ赤みを減らす」といった繊細な調整ができるため、“色のニュアンス”まで思い通りにコントロールできるのです。
5. レベルと露出の調整|写真の雰囲気を整える
写真の明るさをコントロールしたいときに使うのが「レベル」と「露出」調整です。
スライダーを左右に動かすだけで、暗部(シャドウ)・中間(グレー)・明部(ハイライト)をバランス良く整えられます。

たとえば:
– 室内で暗くなってしまった写真 → 明るさを上げて自然光のように
- 白飛びした部分 → ハイライトを抑えて階調を戻す
-主力レベルを下げてアートな雰囲気を出す
「露出」はカメラで言う“明るさそのもの”の調整。
「レベル」は“全体のバランス”を整えるイメージで、両方を組み合わせるとプロのような仕上がりになります。
6. 色バランスと選択的な色調整|印象を操る
Affinityでは、「カラーバランス」「特定色域」など複数の方法で色を調整できます。
これにより、被写体の印象を変える・季節感を出す・ブランドカラーを統一するなどの表現が可能です。

たとえば:
– 商品写真の白背景をより“クリーンホワイト”に整える
- レンズフィルターで少しだけオレンジ寄りに温かく
- ファッション写真を寒色トーンで都会的に

Canvaで文字や背景をデザインする前に、Affinityで色味を整えておくと、全体の調和がとりやすくなります。
つまり、写真の完成度がデザイン全体の完成度を左右するということですね。
7. 消去ブラシツール・コピーブラシツール|不要な部分を自然に消す
写真に写り込んだ不要なもの──たとえば背景のゴミ、肌の小さなシミ、壁の汚れなど──を簡単に消せるのが「消去ブラシツール」や「コピーブラシツール」「インペインティングブラシツール」です。

Affinityの修復機能はAIが周囲の色や質感を読み取り、自然になじむように自動で補完してくれます。

修正した部分がほとんど分からないレベルで仕上がるため、初心者でも安心です。
試しに、この画像の右側の人たちを「インペインティングブラシツール」で消します。

使い方は簡単。大まかにブラシでなぞるだけです。

人々が消え、自然な庭の風景が補完されました。

具体例:
– 商品撮影の背景に入った小物を削除
- ポートレートの肌トーンを均一に
- 景色に映り込んだ人影や看板を自然に消す
「写真を撮り直すほどではないけれど、少し整えたい」というときに、まさに最適な機能です。
8. 覆い焼きと焼き込み|光と影を描くようにコントロール
「覆い焼き」と「焼き込み」は、写真の明るい部分・暗い部分を手作業で調整できる機能です。
たとえば、顔に光を当てたいときや、商品写真の立体感を出したいときにとても有効です。

Affinityでは、ブラシの太さや質感にも対応しているため、まるで絵を描くように繊細な光のコントロールが可能です。

活用例:
– ポートレート写真で顔の立体感を引き出す
- 商品写真で金属やガラスの“光の反射”を強調する
- 風景写真で太陽光の差す方向を意図的に強める
明るさの調整というより、「写真に命を吹き込む」ような感覚で使えるのが魅力です。
オプションとして、以下の設定項目があります。
- Range(範囲):どの明るさに作用するか
- Highlights(ハイライト) → 明るい部分だけを調整
- Midtones(中間調) → 全体的に自然に影響
- Shadows(シャドウ) → 暗部だけを調整
- Exposure(露出):効果の強さ。
値が高いほど強く明るく(または暗く)なります。 - Flow(流量):1回のストロークでどれだけ効果がかかるか。
少しずつ重ねたいときは10〜20%程度がおすすめ。 - Brush設定:
「Hardness(硬さ)」を低めにすると柔らかい光になり、
「Spacing(間隔)」を小さくするとムラなく塗れます。
マウスまたはペンタブで、光を入れたい部分・影を締めたい部分をなぞります。
- 覆い焼き → 光を当てたい箇所をなぞる
- 焼き込み → 影をつけたい箇所をなぞる
描いていくうちに、立体的な陰影が浮かび上がってきます。
ブラシを何度か重ねると効果が強まりますが、強くやりすぎると不自然になるので、少しずつ塗り重ねて“絵を描くように”調整するのがコツです。
9. Liquify(液状化)とメッシュワープ|形を自然に整える
被写体の微妙なゆがみや構図を修正したいときは「Liquifyツール(液状化)」が便利です。

被写体のラインを自然に整えたり、背景をわずかに変形させてバランスを整えることができます。

たとえば、
– 洋服のしわやシルエットを少し調整
- 商品パッケージの角度をまっすぐに
- 建物のゆがみを補正して整列
また、「メッシュワープ」は画像を格子状に分割し、部分的に動かせるツールです。
ポスターなどの印刷デザインに合わせて形を調整したり、サイネージなどで自然に配置を変えるときにも役立ちます。
10. オブジェクト選択ツールとマスク|複雑な切り抜きもスムーズに
髪の毛やレース、透明なガラスなど、細かい輪郭の切り抜きは写真編集でもっとも難しい作業のひとつです。
Affinity Photoでは、こうした複雑な被写体を簡単に分離できる「オブジェクト選択ツール(Object Selection Tool)」が用意されています。
AIが画像を自動解析し、被写体と背景を瞬時に見分けてくれるため、クリックまたはドラッグするだけで高精度な選択範囲を作ることができます。

操作はとてもシンプルです。ツールバーから「オブジェクト選択ツール」を選び、対象を囲むようにドラッグするだけです。
Affinityが被写体の境界線を自動で検出し、髪の毛のような細部までしっかり選択します。選択範囲はリアルタイムで表示され、必要に応じてブラシサイズを変えたり、「追加」「削除」を切り替えて微調整も可能です。

さらに、「マスク機能」を組み合わせることで、選択した被写体だけに効果をかけることもできます。
たとえば、背景を白く飛ばして人物を際立たせたり、商品部分の明るさを上げて印象を強めるなどの調整が簡単に行えます。マスクを使えば非破壊的に編集できるので、あとから修正や調整も自在です。

背景と被写体をきれいに分離したいとき、あるいは部分的に色調補正を行いたいときなど、オブジェクト選択ツールは強力な機能になります。
11. RAW現像とICCプロファイル対応|プロ品質の色と階調
AffinityはRAWファイル(カメラの生データ)を直接開いて編集できます。
ノイズ除去、レンズ補正、ホワイトバランス調整などを非破壊で処理でき、撮影時の情報を最大限に活かした現像が可能です。
さらに、ICCプロファイル(カラーマネジメント規格)にも対応しているため、「画面上の色」と「印刷物の色」を正確に一致させることができます。
活用例:
– パンフレットやカタログの写真を印刷前に色合わせ
- ECサイトの商品画像を、現物の色に忠実に再現
- 広告用ポスターをRGB→CMYKに変換してチェック
この精度の高さは、無料ソフトの中では圧倒的です。
12. グリッチ・照明・ねじれエフェクト|表現の幅を広げる
Affinity Photoの「グリッチ」フィルターは、デジタル信号の乱れやアナログテレビのノイズを再現できる特別なエフェクトです。
写真を少し崩したり、動きを感じさせるような表現が簡単にできるため、SNS投稿や広告デザイン、アート作品などでよく使われています。

グリッチは、画像を直接加工する「破壊バージョン」と、あとからやり直しができる「ライブフィルター」の2つの使い方があります。
破壊バージョンは、メニューバーの「ピクセル」→「フィルター」→「ゆがみ」から適用します。
ライブフィルターで使いたい場合は、レイヤーパネルで「新規ライブフィルターレイヤー」→「ゆがみ」→「グリッチ」を選びます。
ライブフィルターを使うと、強さを変えたり、後から削除したりできるので安心です。
● 1. 収差(ゆがみ)/収差(オフセット)
光が屈折して色がずれる「色収差」を再現するフィルターです。輪郭に赤や青のにじみを作り出し、古いレンズやVHSカメラで撮影したような味わいを加えられます。
「収差(ゆがみ)」は自然な光のズレ、「収差(オフセット)」は方向を指定して強いズレを作るのが特徴です。レトロ感を出したい写真や、ミュージックビデオ風の演出にぴったりです。
● 2. シュレッド(Shred)
画像を細かい帯に分け、それぞれを少しずつずらして表示するフィルターです。ピクセル間隔を調整すると、滑らかな揺らぎから激しい崩壊まで自由に変化させることができます。
デジタルデータが壊れたような雰囲気を出したいときや、グラフィックポスターで動きを感じさせたいときに効果的です。
● 3. ブラスト(Blast)
行や列単位で画像をランダムにずらし、映像が一瞬途切れたような“ブレ”を再現します。
オプションの「スタッガー」を有効にすると、崩れ方が不規則になり、アナログテレビのノイズや電波障害のような演出が可能です。商品写真を印象的にしたいときにも使えます。
● 4. スライス(Slice)
画像を複数の帯に分けて位置をずらす効果で、映像が一瞬ズレて重なったような見た目を作ります。横方向・縦方向を別々に調整できるため、ポスターの背景や広告のデザインに動きを加えたいときに便利です。
● 5. ノコギリ歯(Sawtooth)
スライスにギザギザのエッジを加えたタイプです。古いブラウン管テレビの画面のように、波打つ映像エラーを再現できます。
レトロなノイズ感を出したい作品や、音楽系ビジュアルとの相性が抜群です。
● 6. ゆがみ(Distort)
画像全体を不規則に変形し、データが破損したような印象を作ります。
強くかけると“壊れた画面”のように見えますが、控えめに使えば背景にさりげない動きをつける演出にもなります。
● 7. 量子化(Quantize)
各色チャンネルを異なる解像度でピクセル化するエフェクトです。ポスターのような粗い質感を出したいときや、アニメ風のデザインに使うと雰囲気が出ます。
● 8. スクランブル(Scramble)
画像をランダムにピクセレートして崩すフィルターです。
部分的に“データが壊れた”ような見た目を作れるため、アート的な表現に向いています。
● 9. ファズ(Fuzz)
ノイズを加える効果の一種で、チャンネルごとに異なる強さの粒子を発生させます。
全体に柔らかい粒子感を加えることで、写真を少し幻想的に見せたり、古いフィルム写真のような質感を出したりできます。
● 10. 波紋(Ripple)/波(Wave)/ワープ(Warp)
これらは画像を波打たせるタイプのグリッチです。「波紋」は細かい揺らぎを作り、「波」は周期的な大きな波を描きます。「ワープ」は写真をねじるように歪めることができ、大胆な変形表現に向いています。
● 11. 光の筋(Light Streaks)
光が漏れたようなエフェクトを作り出す機能です。水平方向にかけるとスピード感が生まれ、垂直方向では神秘的な印象になります。ポートレートや商品写真の演出に使うと効果的です。
● 12. チャネル反転(Channel Invert)
赤・青・緑などの特定の色だけを反転させ、ネガポジのような表現を作ります。
不透明度やブレンドモードを調整すれば、現実と非現実の境界をぼかしたような独特の印象になります。
グリッチは、強くかけると激しい印象になりますが、少しだけ加えると写真に「動き」や「時間の流れ」を感じさせる演出にもなります。
商品写真やブログのアイキャッチに個性を加えたいときに、ぜひ試してみてください。
6. Affinityはどんなジャンルの編集に向いている?ー業種別の応用例
■ 商品撮影・ECショップ
ネットショップの売上を左右するのは、「写真の印象」です。
Affinityでは、背景のホコリを消したり、照明のムラを補正したりといった清潔感と統一感のある商品写真を簡単に作れます。
おすすめ機能:
– 修復ブラシ(細かな汚れやホコリを除去)
- レベル補正(背景を明るい白に)
- 覆い焼き/焼き込み(金属やガラスの反射を強調)
また、Canvaとの連携で、補正後の画像をそのままバナーや商品ページに即反映できます。
写真とデザインを別作業にせず、ワンストップで制作できるのが最大の強みです。
■ ポートレート(人物写真・プロフィール)
人物写真では、光の調整と肌の質感がとても重要です。
Affinityなら、自然で美しい肌補正がAIによって自動で行えます。
おすすめ機能:
– 消去ブラシツール(肌のシミや影を自然に修正)
- 覆い焼き/焼き込み(立体的な陰影を追加)
- カラーバランス(トーンを温かく・クールに調整)
プロフィール写真を整えるときも、過度な加工ではなく、自然に「印象が良く見える」レベルで仕上げられます。
ポートフォリオサイトやSNSアイコン用にもぴったりです。
■ 風景・旅行・建築写真
風景写真では、光と色のコントロールが作品の魅力を大きく左右します。
Affinityの「曲線」「トーンカーブ」「選択的色補正」を使えば、青空をより澄ませたり、夕日の温度感を高めたりといった演出が自在です。
おすすめ機能:
– 曲線調整(空・雲・山の色を自然に)
- RAW現像(露出やホワイトバランスを正確に補正)
- 照明エフェクト(太陽光を再現して臨場感をプラス)
また、複数の写真をHDR合成して「明暗の階調が豊かな作品」を作ることもできます。
旅行ブログや地域観光サイトなどでも活躍します。
7.Affinity × Canvaの連携でもっと便利に -写真編集からデザインまでを一気に
1. Canvaとの連携で広がる編集の自由
Affinityの大きな特徴は、Canvaと直接つながることです。
これまで別々に行っていた「写真編集」と「デザイン制作」を、まるで一つのアプリのように連携できます。
ファイル形式の変換も不要で、クリックひとつでCanvaに送れるのがポイントです。

Affinityで“写真を仕上げ”、Canvaで“デザインに仕上げる”という理想的な分業が可能です。
2. AffinityからCanvaへ|実際の操作手順
実際に連携させるときの流れはとてもシンプルです。
1. Affinityを起動して、画像を開く
2. 編集を終えたら「エクスポート」ボタンをクリック
3. 「Canvaへ送信」を選択
4. Canvaアカウントでログイン(初回のみ)
5. Canva上でデザイン素材として開く
これで、Affinityで編集した写真をそのままCanva上で利用できます。
ポスター、SNS画像、名刺、プレゼン資料など、Canvaのテンプレートにもすぐ反映されます。
実際、上記の工程を行ってAffinityから「Canvaデザイン」を選択してエクスポートし、書き出しをした後、Canvaを開くとデータが転送されていました。これはとても便利です。

逆に、Canvaで作成した素材をAffinityで細かく修正することも可能です。
たとえば、「写真だけ色味を変えたい」「文字の影だけ自然にしたい」という場合に便利です。
3. 編集からデザインまでの活用シーン例
AffinityとCanvaを組み合わせると、編集 → デザイン → 投稿のすべてが一連の流れで完結します。
ファイルの移動や形式変換に悩むこともなく、制作時間を大幅に短縮できます。例えばこんなシーンで使えます。
【シーン】ECサイトの商品ページ
・Affinityでの処理:背景を白に整える/影を自然にする
・Canvaでの仕上げ:値札や説明テキストを配置して商品ページに活用
【シーン】旅行ブログ
・Affinityでの処理:色補正や光の調整で写真を明るくする
・Canvaでの仕上げ:タイトル文字や装飾を追加して記事のビジュアルに仕上げる
【シーン】プロフィール写真
・Affinityでの処理:肌の修正や照明の演出を行い、自然な印象に整える
・Canvaでの仕上げ:SNS投稿や自己紹介ページのレイアウトに組み込み
【シーン】広告バナー
・Affinityでの処理:被写体の切り抜きやグラデーション調整で主役を際立たせる
・Canvaでの仕上げ:キャッチコピーやロゴを配置して完成デザインを仕上げる
8.Affinityのよくある質問(FAQ)
Q1. Affinityは本当に無料で使えますか?
はい。Affinityは無料でダウンロードして利用できます。
ピクセル編集(Photo)、ベクター(Designer)、レイアウト(Publisher)の各スタジオが統合されており、追加料金なしで使えます。
また、今後の機能アップデートも無料で提供されます。
Q2. Canvaのアカウントがないと使えませんか?
いいえ。Affinity単体でも十分に機能します。
ただし、Canvaと連携してエクスポート機能などを使う場合は、無料のCanvaアカウントを作成しておくと便利です。
Q3. Photoshopファイル(PSD)を使えますか?
はい。AffinityはPSDのレイヤー構造を保持したまま開くことができます。
また、.afphoto形式で保存すれば、他のAffinityユーザーと共同編集も可能です。
Q4. AI機能は使えますか?
はい。AffinityにはAIによる「スマートセレクション」「深度認識マスキング」「生成塗りつぶし」などが搭載されています。
不要なオブジェクトを自動で削除したり、被写体だけを素早く切り抜くなど、作業時間を短縮できます。
Q5. Canvaプレミアムプランが必要ですか?
基本機能は無料プランでも利用可能です。
ただし、CanvaのAIツールや追加素材(プレミアムテンプレートなど)を使いたい場合は、有料プランが必要になります。
まとめ:写真を仕上げデザインに活かすという新しい流れ
AffinityとCanvaがあれば、ひとつの創作体験の中で完結する。
これまで、写真を編集してからデザインするまでには「保存→変換→再読み込み」といった手間がありました。
Affinityの登場で、その壁がなくなりました。
– 写真の補正や加工はAffinityで直感的に
- 文字入れやレイアウトはCanvaで自由に
- すべて無料で始められる
本格的な編集を誰でも。Affinityでデザインの可能性が広がる。
この流れを一度体験すれば、「もう戻れない」と感じるほどスムーズです。
写真を“素材”ではなく“作品”として扱える新しい時代のツール。
それが Affinity × Canva なのです。
