AISAS(読み方:あいさす)モデルとは、商品・サービスの購買までの消費者の思考または行動をモデル化した購買行動モデルの一つ。特に、インターネット上で買い物するときの購買行動モデルです。
購買行動を表す5つの要素「Attention(認知/注意)」・「Interest(興味)」・「Search(検索)」・「Action(行動)」・「Share(共有)」の頭文字から由来して「AISAS」と呼ばれています。
AISASとAIDMAと5Aの違い
主な消費者行動モデルの歴史
モデル名 | 発案者 | 年代 | 特徴 |
---|---|---|---|
AIDMA | サミュエル・ローランド・ホール | 1920年代 | 消費者行動モデルの基本として今でも用いられる |
AISAS | 電通 | 2004年 | インターネット上のシェア行動を念頭に置いている |
5A | フィリップ・コトラー | 2016年 | 顧客の自己実現と推奨行動を重要とするモデル |
主な消費者行動モデルのステップ
モデル名 | ステップ1 | ステップ2 | ステップ3 | ステップ4 | ステップ5 |
---|---|---|---|---|---|
AIDMA | Attention:認知 | Interest:興味 | Desire:欲求 | Memory:記憶 | Action:行動 |
AISAS | Attention:認知 | Interest:興味 | Search:検索 | Action:行動 | Share:共有 |
5A | Aware:認知 | Appeal:訴求 | Ask:調査 | Act:行動 | Advocate:推奨 |
AISASとAIDMAの違いで特に注目したいのは、AISASの「Search(検索)」・「Share(共有)」です。
AISASでは、興味を持ったあとに、インターネット検索を行い、商品購入(行動)をしたあとにインターネット上に商品情報を共有をします。
企業が、ウェブマーケティングを行う上では、AIDMAよりもAISASで購買行動を考えるほうが、よりインターネット消費に適していると言えます。
5Aは、AISASよりも新しく、コトラーのマーケティング4.0の基盤となっているフレームワークです。
AISASはもう古い?
AISASは、電通が2004年に提唱した消費者行動モデルで、AIDMAでは、考えてこなかったインターネット上での「シェア」行動を念頭に置いているのが特徴です。
フィリップコトラーが提唱した5Aもまた、SNS時代にあった消費者行動モデルで、気に入った商品を他者に推奨する行動が重要なポイントだと定義しています。ステップ5を比べると2つのモデルは似通っているようにみえます。
また、AISASのステップ3では、Search:検索となっていますが、現代では、インスタやTwitter、Youtubeで情報収集を行うなど、AISASが提唱された時代の「ググる」以外の調査行動が多く見受けられます。
AISASモデルと5Aの言葉の差はあるものの、二つのモデルともに、今のSNS時代の消費者行動として捉えることができます。
AISASモデルの購買行動の流れ
Attention(認知)
Attention(認知)は、消費者が商品のことを認知する、AISASの最初の段階です。
ウェブサイトやSNS、ウェブ広告などインターネット上で見かけ、認知されないと、商品購入に至ることはありません。認知されるのは、消費者の「シェア」がきっかけになる場合が増えています。
Interest(興味)
顧客に商品を訴求することで、より一層の興味を持ってもらえます。特に商品を販売している企業ではなく、第三者である消費者が商品訴求している場合は、より情報が信頼されます。
Search(検索)
Search(検索)は、インターネット上で情報収集をする段階です。
TwitterやInstagram等のSNS・Youtube等の動画・Google等の検索エンジン・SNS内コミュニケーションを通じて、すでに商品を使ったことのある利用者のインプレや口コミ情報の収集、他社商品との比較を行います。
Action(行動)
Action(行動)は、興味を持ちインターネット上で情報収集を終えた結果、購買する段階です。
購買を決定するステップでは、購買しやすい注文方法、キャンペーン、購入のきっかけを与えるなどが重要です。
Share(共有)
Share(共有)は、AISASの購買行動の最終段階です。
主にSNSで、買った商品の感想を画像や文章、動画を使ってシェアします。商品紹介を生業にしているYoutuber・インスタグラマー・ブロガーといった職業の方がシェアする場合もあります。
AISASは、シェア行動に重きを置いたフレームワーク
AISASの最終段階である共有(Share)が、ほかの消費者購買行動の認知・興味・検索の行動ステップに影響を及ぼします。
AISASモデルを考える上で、消費者の共有(Share)が、他の消費者行動を起こさせるループ現象が発生していることに注目することが重要です。
AISASモデル成功事例
SNSでの愛され方を知っていたバタフライナイフメーカー
2016年に創業したバタフライナイフメーカー Squid Industriesは、Instagramのストーリーズをうまく使ったマーケティングを行い、世界でも有名なバタフライナイフメーカーに成長しました。
- インスタ投稿でバタフライナイフが上手な利用者の動画をメンションをつけて紹介
- 利用者のストーリーズを、公式アカウントが再度ストーリーズでシェア
Squid Industries 公式Instagramアカウント:https://www.instagram.com/squidindustriesco/
Attention(認知) | Interest(興味) | Search(検索) | 行動(Action) | 共有(Share) |
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SNSで、同じ趣味の知り合いがシェアした投稿でブランドの存在を知る。 | SNSで、バタフライナイフの技を見て、自分もやってみたいと興味が湧く | ブランド名や商品名のハッシュタグを押して他の投稿や動画を探す | SNSやYoutube動画にあるクーポンコードを利用して商品を購入する | インスタで公式アカウントにシェアされると理解している利用者は、公式アカウントにメンションをつけて投稿をする |
利用者が、公式アカウントに対してメンションをつけてシェアする理由が、「よかった商品やサービスをシェアしている」以外にも「公式アカウントに取り上げてほしい」という可能性があることを理解して、インスタのストーリーズで、利用者の投稿をシェアしているのがポイントです。
AISASマーケティングを行う手順
AISASモデルはいつ使えばいい?
AISASモデルは、消費者の購買行動を分析するフレームワークなので、4P分析のプロモーション戦略で「どうやって顧客に商品を知ってもらうか」を考える際に使うのが適切です。
マーケティング戦略全体から見たAISASの位置付け
リサーチ
↓
ターゲットの特定(STP分析)
↓
マーケティングミックス(4P)
→ 製品・価格・流通・プロモーション(AISAS)
AISASは、リサーチ→STP分析→4Pのうち、4Pのプロモーション戦略で活用するのがおすすめです。
AISASにおける勝ちパターン
AISASは、インターネットの「シェア」を念頭に置いたフレームワークです。
シェアをしやすい商品づくりや、マーケティングを行うことで、他の人が商品の存在に気づき、さらにその人がシェアすることで、他の人が認知していくというスパイラル的な拡散によりブランド形成されていきます。
どうやったら、シェアされやすくなるか?を考えて商品・仕組みづくりを行いましょう。
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