リスティング広告で自社商標が使われたらまずこれをする!削除申立てと証拠の残し方

リスティング広告で自社の商標が無断で使われると、ブランド価値の低下や誤認による売上損失につながります。早期発見と適切な対応で被害拡大を防ぐことが重要です。ここでは、発見したときにまずすべき手順から、媒体別の申立て方法、運用ルールまでわかりやすくまとめます。落ち着いて段取りを踏めば対応は可能ですので、順を追って確認してください。

目次

リスティング広告における商標権侵害に直面したらまず行うべき対応

リスティング広告で商標権侵害を疑った場合、初動の記録と社内での対応体制整備が鍵になります。証拠がないと後の申立てで不利になるため、見つけた広告は消える前に確実に残しましょう。並行して関係者の役割と期限を決め、対応の抜け漏れを防ぎます。

被害広告の表示をスクリーンショットで記録する

見つけた広告は画面全体が分かるようにスクリーンショットで保存してください。検索結果ページのURLや検索ワード、日時が分かる画面を含めると証拠性が高まります。広告文だけでなく、広告枠の位置や周囲の表示も撮影しておくと文脈が伝わりやすくなります。

スクリーンショットは複数のデバイス(PC・スマホ)やブラウザでも撮ると信頼性が増します。自動更新で表示が変わることがあるため、発見直後に保存する習慣をつけてください。ファイル名に日付と検索語を入れて整理すると後で探しやすくなります。

クラウドや社内共有フォルダにバックアップを残し、削除や上書きのリスクを避けましょう。必要に応じてログ取得ツールを使ってネットワーク通信やページソースも保存しておくとよいです。

表示されたリンクと出稿者名を確認する

広告に表示されているリンク先のURLと、可能なら出稿者の名称やアカウント情報を確認してください。ランディングページのスクリーンショットも取り、問い合わせ先や記載された会社情報があれば記録します。リンク先に詐称や不正な販売表示があるかをチェックすることも重要です。

出稿者名は広告管理画面で表示されるケースがあるため、見られる情報はすべて保存します。企業名やメールアドレス、電話番号があればメモしておくと、後の連絡や調査で役立ちます。匿名の場合も、ドメイン情報(WHOIS)を調べることで手がかりが得られることがあります。

記録した情報は社内で共有し、法務や広報、担当者が素早く状況把握できるようにしてください。

検索条件と掲載日時をメモして保存する

広告を発見したときの検索キーワード、地域設定、デバイス種別、ブラウザ情報、閲覧日時を正確にメモしてください。これらは同じ条件で再現するための手がかりになるだけでなく、媒体側に申立てる際の重要な情報になります。検索結果は時間で変わるため、日時の記録は必須です。

可能なら検索履歴やブラウザのコンソールログも保存しておくと、再現性を示せます。検索条件を複数パターンで試して広告の表示範囲を確認することも有益です。これらのデータは媒体への申立てや社内報告で根拠資料になりますので、分かりやすく整理して保管してください。

自社の商標登録情報を用意する

申立てに必要な自社の商標番号、登録日、登録区分(商品・サービスの範囲)をまとめておきましょう。登録証のコピーや商標台帳のスクリーンショットを添付できるようにしておくと申立てがスムーズです。未登録の場合でも、使用実績や先使用の証拠を用意すると対応の助けになります。

商標の出願中や一部地域のみ登録されているケースでは、その範囲を明確にしておくことが重要です。どの範囲で保護されるのかを整理して、媒体や相手に伝わるようにまとめておいてください。

対応担当者と期限を社内で決める

早期対応が必要なため、担当者と対応期限を社内で明確に決めてください。法務・マーケティング・CS・広報など関係者の役割分担を決めると混乱が少なくなります。初動の確認、媒体への申立て、相手企業への連絡、必要なら弁護士対応の判断フローを設定しておきます。

期限は短めに設定し、進捗確認のための定期的なミーティングを設けると対応が滞りません。連絡先リストやエスカレーションの手順も共有しておくと、緊急時にスムーズです。

媒体への申立てに必要な準備を始める

媒体に申立てする際に必要な書類や証拠を整理しましょう。スクリーンショット、検索条件、商標登録証、出稿者情報、連絡履歴などを一つのフォルダにまとめます。媒体によってフォーマットや求められる情報が異なるため、各媒体のガイドラインを確認して準備してください。

申立てフォームに記入する文章は簡潔に事実を示すことを心がけ、証拠ファイルを添えて提出します。提出後の対応期限や連絡先を確認し、対応状況を社内で追跡できるようにしておくと安心です。

商標は何を守るのか リスティング広告で押さえる基礎知識

商標は商品やサービスの提供元を示すサインであり、消費者の誤認を防ぐために保護されます。リスティング広告では商標が広告文やキーワードに使われることで混同が生じるケースがあり、それが問題になります。ここでは商標が守る対象やどのような場合に権利が及ぶかをわかりやすく説明します。

商標登録で守られる範囲とは

商標登録は特定の文字やロゴ、図形などを指定した商品やサービスに対して独占的に使える権利を与えます。登録された区分(例:衣類、ソフトウェア、金融サービスなど)に基づいて保護範囲が決まるため、自社の業種や商品に関連する区分を把握することが重要です。

商標は名称やロゴだけでなく、色や音を含む場合もあります。リスティング広告では表示される文言やリンク先の表現が登録範囲に含まれるかどうかがポイントとなります。登録情報は媒体への申立てや相手への説明に使うため、正確に保管しておきましょう。

登録の有無で異なる権利の扱い

登録商標があると明確な専用権が発生し、無断使用に対して強い法的対応が可能になります。一方、未登録でも長期間の使用実績や市場での識別力が認められれば、「不正競争防止法」など別の法律で保護される場合があります。ただし、保護範囲や証明の要件が異なるため、対応方法も変わってきます。

登録の有無は申立て先での対応スピードや結果に影響するため、まずは自社の状況を整理し、どの根拠で主張するかを決めておくとよいです。

類似性の判断と混同の基準

商標の類似性は見た目、読み、意味、呼称などを総合的に判断します。リスティング広告では、広告文やリンク先が消費者に誤認を与えるかが重要です。たとえば、似た名称に加えて同じ業種の表示があれば混同されやすく、侵害と判断される可能性が高まります。

判断はケースバイケースで、消費者の注意力や商品の性質も考慮されます。媒体への申立てや交渉では、どの点が混同を招くのかを具体的に示すことが有効です。

権利行使の基本的な流れ

権利を行使する際は、まず証拠を整え、媒体や相手先に連絡します。媒体に対しては削除や差し止めを求め、必要があれば相手企業へ警告文を送るケースが一般的です。相手が応じない場合は、弁護士を通じた交渉や法的手続きを検討します。

対応は段階的に進め、費用対効果を考えながら判断することが大切です。社内での意思決定ルールを事前に整えておくと、迅速な対応が可能になります。

どのケースが商標権侵害に当たるか判断する視点

リスティング広告で商標権侵害かどうかを判断するには、広告文やキーワード、リンク先の表示など複数の要素を総合的に見る必要があります。単に商標が使われているだけでなく、消費者の誤認を招くかどうかが判断の焦点です。ここでは具体的な視点を挙げていきます。

広告文に商標がそのまま含まれる場合

広告文に自社の商標がそのまま含まれていると、消費者が公式の広告と誤認するリスクが高くなります。特に「公式」「正規」といった文言と組み合わさると、より問題視されやすいです。広告文の前後関係や見せ方も重要で、商標を強調している場合は侵害と判断される可能性が高くなります。

ただし、引用や評論の範囲で適切に使われている場合は例外となることもあります。具体的な状況を整理して、どの要素が誤認につながるかを明らかにすることが必要です。

キーワード入札で起きる典型的な問題

第三者が自社の商標を検索キーワードとして入札すると、検索結果として自社のブランド名で競合広告が表示されることがあります。競合が自社商標で流入を奪う形になると問題です。媒体によっては商標キーワードの入札を制限するポリシーがあり、申立てで対応できる場合もあります。

キーワード入札は検索結果の上位表示に影響するため、入札状況の監視が重要です。疑わしい広告があれば、記録を残しつつ媒体へ申立てを行ってください。

なりすましや誤認を招く表示の例

「公式」と偽る、ロゴを模倣する、代表者名や連絡先を詐称するなどの表示は明確ななりすましとして扱われます。ランディングページでの表現が消費者を誤導する場合も同様です。これらはブランド毀損や顧客トラブルにつながるため、早急に対応する必要があります。

該当する部分のスクリーンショットや保存データを用意し、媒体と相手に具体的に示してください。

比較表現で誤解を生む文言の見分け方

比較広告やレビュー風の表現が混乱を招くケースがあります。たとえば、自社製品と並べてあたかも公式情報のように見せる表現は注意が必要です。比較そのものは許される場合もありますが、誤解を生む書き方や強調方法は問題になり得ます。

見分けるポイントは、広告全体が消費者にどの印象を与えるかです。混同の可能性が高い場合は、媒体への申立て対象となる可能性があります。

関連商品や別サービスでの表記の扱い方

同じ商標が別カテゴリの商品やサービスで使われている場合、混同の有無が判断基準になります。関連性が高い分野では誤認が生じやすく、権利侵害とされるケースが増えます。逆に全く無関係な分野での使用は保護範囲外となることが多いです。

広告とリンク先がどのような関係にあるかを確認し、混同のおそれがあるかどうかを見極めてください。

発見から撤去まで 媒体別の申立てと交渉の手順

媒体ごとに申立て方法や求められる情報が異なります。申立て前に必要書類を揃え、媒体のポリシーを確認しておくと手続きがスムーズです。ここでは主要媒体ごとのポイントと、相手企業とのやり取りで気をつける点を解説します。

Google広告への申立て方法と必要資料

Googleには商標ポリシーに基づく報告窓口があります。申立てには商標登録証、該当広告のスクリーンショット、検索条件、リンク先の情報を添付してください。Googleは広告文とランディングページの内容を確認し、違反が認められれば広告停止や削除を行います。

申立てフォームでは具体的な該当箇所を示すことが重要です。対応には数日から数週間かかる場合があるため、進捗をトラッキングして必要に応じて追加情報を提出してください。

Yahoo広告への申立て方法と必要資料

Yahoo広告(現地の運営体制により名称が異なる場合があります)でも商標関連の申立てが可能です。必要資料はGoogleと同様で、登録証、スクリーンショット、検索条件、リンク先情報を用意します。申立て窓口やサポートチャネルへの連絡方法を事前に確認しておくとよいです。

媒体側は広告主への連絡や審査を行い、必要に応じて広告の停止や掲載内容の修正を求めます。対応期間はケースにより変わるため、早めに申請してください。

相手企業へ連絡する際の文例と注意点

相手企業への連絡は冷静で事実を明示する文章が望ましいです。感情的な表現や脅迫的な文言は避け、該当広告のどの部分が問題か、どのような対応を求めるかを明確に示してください。応答期限や連絡先を明記するとやり取りがスムーズになります。

連絡はまずメールやフォームで行い、応答がない場合は弁護士からの通知に切り替えることを検討します。保存した証拠を添付すると信頼性が高まります。

提出すべき証拠の整理方法

証拠は時系列で整理し、誰がいつ何を確認したかが分かるようにまとめてください。スクリーンショット、検索条件、ログ、商標登録証、出稿者情報、やり取りの記録をフォルダにまとめ、ファイル名に日付と内容を入れると使いやすくなります。

媒体や法的手続きで求められる可能性があるため、原本や改ざんされていないコピーを保管してください。必要時にすぐ提出できるよう準備しておくと安心です。

申立て後に対応がないときの次の手

媒体が対応しない、相手が無視する場合は弁護士と相談して法的措置を検討します。差止請求や損害賠償請求の可能性を踏まえつつ、費用と効果を比較して判断してください。並行してSNSや自社サイトでの情報発信も検討して、顧客への誤解を最小限に抑えましょう。

法的手続きに進む前に、可能な限り証拠を揃え、社内での承認を得てから進めることが重要です。

事故を防ぐ運用ルールと監視体制の整え方

継続的な監視と運用ルールの整備で侵害リスクを下げることができます。定期的なチェックや外注先との取り決め、ツールの活用で早期発見を目指しましょう。ここでは現場で実践しやすい仕組みを紹介します。

キーワード運用時のチェックリスト

キーワード登録時は次の点を確認してください。

  • 商標の表記ゆれや略称の有無
  • 競合が同一商標を入札していないか
  • 入札対象地域やデバイスの設定
  • ブランドキーワードの入札ルール(誰が管理するか)

これらをテンプレート化して運用担当が必ず確認するようにしてください。

定期的に検索結果をチェックリストで確認し、異常があれば即時記録する体制を作ると安心です。

広告文作成で避けるべき表現一覧

広告文で避ける表現は以下の通りです。

  • 他社の「公式」「正規」を示唆する文言
  • ブランド名を不自然に強調する表記
  • 顧客が誤認する可能性のある比較表現

具体的な語句は貴社の商標や競合状況により異なるため、ルール化してチェック項目に組み込んでください。

代理店や外注先との確認ポイント

代理店には商標使用ルールやチェック手順の共有を義務付け、違反があった場合の対応フローを文書化しておきましょう。入稿前の承認プロセスや定期的なレポーティングを取り決めるとミスを減らせます。

外注先にも広告表現のガイドラインを渡し、違反が発生した際の責任範囲を明確にしておくことが大切です。

自動検知ツールの導入と通知設定

自動監視ツールを導入すると、商標を含む広告やランディングページの変化を早期に検出できます。アラートの閾値や通知先を明確にしておき、発見時に即動ける体制を作ってください。

ツールは万能ではないため、人による定期確認も併用すると効果的です。検出ログは証拠として保存しておくと役立ちます。

商標管理台帳の作り方と更新運用

商標管理台帳には、商標名、登録番号、登録区分、有効期限、担当者を記載してください。更新や出願状況の履歴も残すと管理が行いやすくなります。定期的な見直しと関係部署への共有をルール化しておくことで、権利切れや範囲の見落としを防げます。

台帳はアクセスしやすい場所に置き、必要に応じて媒体申立て用の書類テンプレートも一緒に保管してください。

迷ったときに使える短いチェックと次の一手

迷ったときはまず「証拠を残す」「担当を決める」「媒体に相談する」の3点を実施してください。これだけで対応の方向性がはっきりします。次に媒体のガイドラインを確認し、必要なら弁護士に相談して対応方針を決めるとよいでしょう。焦らず段取りを踏むことが被害拡大を防ぐ近道です。

ポストしてくれるとうれしいです

この記事を書いた人

岩永奈々のアバター 岩永奈々 取締役・クリエイター

世界を旅するきゅうり大好きクリエイター🛫デザイン歴25年。
みんながハッピーになる企業のマーケティングを研究中。Canva+AI導入+SNS運用+商品企画+商品キット制作+映え壁作りならお任せください!映画・テレビドラマ美術協力&衣装協力35本突破! 工作、手芸、ピアノ、カラオケ大好きな元バンドマン。講師依頼もお待ちしています。

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