Twitterマーケティング戦略の構築と実践的運用方法

Xマーケティング戦略の構築と実践的運用方法
SNS担当者の方へ

X(旧Twitter)は、企業の広報宣伝に欠かせないツールとなっています。しかし、単に企業アカウントを立ち上げてプロフィールを設定し投稿していくだけでは十分ではありません。成功への道には、明確な目的意識戦略アプローチが必要になります。

この記事では、SNS担当者が、X(旧Twitter)の企業アカウントを効果的に運用するためのマーケティング戦略を学べます。

目次

なぜ企業がX(旧Twitter)を活用するのか?

インターネット上での情報収集

インターネット上での情報収集は、Google検索が主でしたが、今ではInstagramやTiktok、X(旧Twitter)といったSNSでの情報収集がメインになっています。SNSでは、利用者の行動履歴によって興味関心のある情報が表示されるため情報取得をしやすく、また利用者同士の双方向コミュニケーションが行えるために情報収集の場になっています。

企業もX(旧Twitter)内コミュニティに参加することで、顧客になりうる層に対して直接的なコミュニケーションが取れてブランド認知度アップやファン層の獲得ができます。

企業がXマーケティングを使うメリットを一覧にしたのでお使いください。

Xマーケティングのメリット

ブランド認知度アップ・マーケティングコストの削減・信頼性の向上・リード獲得・契約獲得・顧客の行動分析・ウェビナー開催・キャンペーン開催・企業イメージ向上

潜在顧客へのアプローチこそがファン化のカギ

潜在顧客と顕在顧客の理解は、マーケティングにおいて必要不可欠ですので、学んでおきましょう。

潜在顧客は、企業の製品やサービスにまだ気づいていないが、将来的に関心を持ち得る人々です。一方、顕在顧客は、すでにあなたの会社の製品やサービスに関心を持っている人々を指します。

潜在顧客へのアプローチは、幅広い顧客層に対して価値のあるコンテンツを提供し、それにより顧客が抱える課題が見えるようになり自然と企業が提供するサービスへの関心も高まります。定期的なコミュニケーションにより信頼関係の構築ができファン化にもつながります。

一般的には、SNSでは、潜在顧客の認知を得ることができ、「ググる」ようなweb検索では、目的がはっきりしている顕在顧客の認知を得ることができると言われています。

SNSは、潜在顧客へアプローチができ、顧客にサービスの価値を知ってもらうための情報提供を行う場と認識しておきましょう。

X(旧Twitter)マーケティング戦略を立てる

Xアカウントを立てたら、まずマーケティング戦略を立てます。

ここでは、以下の4つ項目について考えていきます。

サービス・ターゲット

ターゲット

カスタマージャーニー

カスタマージャーニー

集客導線

集客導線

KPI測定

KPIレポート

サービス・ターゲット設定

最初に取り組むべきは「サービス・ターゲットの設定」です。

サービス設定項目

まず顧客獲得をしたいサービスを特定させます。

項目名記入内容
サービス名Xで認知させたいサービスを選ぶ(必ず1つに絞る)
サービスの概要どんなサービスかを一言で表します。
サービスの主な特徴・利点サービスの特徴や、他社との差別化・強みを書きます。
主な用途・適用分野サービスが効果的に使用されるシーンや業界を書きます。

ターゲット設定項目

次にそのサービスの顧客は誰か?どんな課題を抱えているのか?を明確にします。

項目名記入内容
年齢層顧客の年齢層を入力
地理的ターゲット※地域、国、都市など、サービスを提供する地理的範囲
職業・業界顧客の職業や業界を入力
興味・関心※興味や関心があるトピックをリストアップ
課題・ニーズ※ターゲットが直面している問題やニーズ
オンライン行動※オンラインでの情報収集・情報発信を行う活動領域や行動パターン

認知させるサービスは1つに絞る

自社で様々なサービスを展開していると仮定すると、サービスごとにターゲットやコンセプトが違います。複数のサービスに関連するX投稿を行うと、あるお客さんには有益で、別のお客さんには無益になる場合があります。

一貫した目標設定を行うためには、サービスを1つに絞り途中で変更しないように心がけてください。ターゲットがズレている場合は、サービスのターゲット設定自体を途中で調整するのは構いません。

サービスを1つに絞る

カスタマージャーニーシートを作成する

カスタマージャーニー

カスタマージャーニーシートとは、顧客が企業のサービスを知り購入に至るまでの購入プロセスを分析するシートで、集客フェーズごとの顧客思考や行動を深く理解できます。

作成はやや面倒だと感じられるでしょうが、運営の途中でエンゲージメントが下がったりコンバージョン数が落ちたときに、どのフェーズがボトルネックになっているのか細分化して解決することができたり追加施策を出しやすくなったり、社内チームでのマーケティング戦略理解が深まるなど、多くのメリットがあるのでカスタマージャーニー作成は不可欠です。

施策でステップを増やす

施策のステップアップ例

カスタマージャーニーシートの施策には、顧客の問題解決になるもの、あるいはメリットとなりうるものを提供します。シートで、顧客の思考と行動を読み取り、認知・興味関心・検討・購入のフェーズごとの施策を考えていきましょう。

施策を行う際に、担当者名・会社名・メールアドレスなどの見込み顧客の情報を獲得することで、次回から企業側から見込み顧客へ情報を伝えることができます。このように見込み顧客を獲得する施策をリード獲得施策と呼びます。

リード獲得施策には以下のようなものがあります。施策の準備には手間がかかるものが多いですが、この手間こそがX運用のコアになると言っても過言ではありません。

SNSで使われるリード獲得施策一覧

SNS広告・ブログ記事シェア・ハッシュタグキャンペーン・ウェビナー申込・資料請求(ホワイトペーパー)・メルマガ登録・公式LINE登録

集客導線を設計する

集客導線のパターンとフロー

Xで潜在的な顧客と接点を持ってから、自社サービスの契約や問い合わせに導くプロセスをあらかじめ設計しておく必要があります。

カスタマージャーニー作成後に集客導線を設計することで、プロセスごとの顧客視点を中心に考えることができます。

具体的には、カスタマージャーニーのプロセスを認知→興味関心→検討→購入 と順に追いかけて、顧客がどのプロセスでどう考えてどう行動するか、それに合わせてどのフェーズでどんな施策を設置するか? を考えます。

1本の線のように、集客導線をシミュレーションして顧客が行動しづらい箇所はないか?悩みを解決できない箇所はないか?導線が途中で切れていないか?などを確認していきます。

パターンフロー
Xプロフィール→ウェブサイトXプロフィールにウェブサイトリンク掲載 → 企業の公式サイト訪問
X固定ポスト→ホワイトペーパーX固定ポストにホワイトペーパー(資料PDF)ダウンロードページをシェア → フォーム入力 → SFAにてリスト獲得 → ステップメール・メルマガ → 企業の公式サイト訪問
Xプロフィール→DMXプロフィールに「仕事依頼はDMにて」と記載 → DMにて問い合わせ
X投稿 → ブログ記事Xでブログ記事をシェア → ユーザーがブログ記事を読む → 記事下CTA → 企業の公式サイト訪問
X投稿 → noteXでnote記事をシェア → ユーザーがnote記事を読む → 記事下CTA → 企業の公式サイト訪問
X投稿 → YouYubeXで最新のYouTube動画を紹介 → ユーザーがYouTubeリンクをクリック → YouTubeチャンネル視聴 → YouTube概要欄 → 企業の公式サイト訪問
X投稿→LINEXでキャンペーン情報を投稿 → LINEアカウントへの誘導を促すCTA(Call to Action)設置 → ユーザーがLINEでフォロー → LINEメニュー → 購入
Xから自社サービスへの誘導パターン例

どんな集客導線にすればいいか分からない場合は、同業他社のXアカウントを検索して、プロフィール・固定ポスト・ポスト内容から集客導線を追いかけて確認してリストにまとめましょう。

X(旧Twitter)運用のKPIを決めて測定レポートを準備する

KPI(Key Performance Indicator)とは、「重要業績評価指数」のことで、何か施策を行ったときに定期的にうまく実行できているか確認するために目標を数値化します。

X運用は、毎日投稿を行うだけで、フォロワーを増やすことだけに集中してしまい「SNS運用は効果があるのか?」と疑心暗鬼になったり、周りの評価も低くなりがちです。

KPIを設定して計測をしなければ、成果が出ないと判断し、X運用を終了する そうした事態も起こりかねないでしょう。

X側・自社サイト側でそれぞれアナリティクスツールを活用してデータを取得し、KPI月次レポートを作成しましょう。

X運用のKPI例

Xアナリティクスで計測できる指数

フォロワー数・インプレッション数・エンゲージメント率(反応率)・リンクのクリック数・メンション数・プロフィールへのアクセス数

自社サイトのGoogleアナリティクス(GA4)で計測できる指数

Xから自社サイトへの流入数・エンゲージメント率・クリック率(CTR)・コンバージョン率(購入や資料請求)・指名検索数

指名検索数の計測

ブランド認知を第一の目的としているのであれば、ブランド名の指名検索数を計測しておくべきでしょう。毎月どれだけ人々が話題に出しているのか?を数値化します。

Twitter内検索のデータは、Yahooリアルタイム検索で30日分のカウントができます。Google検索の検索数は、Google Search Consoleで確認できます。

X(旧Twitter)運用KPIレポートの例

下記の表のように、自社に必要な指標をスプレッドやエクセルのシートに入力して、月初に数値を入力していきましょう。

項目2023/102023/112023/12
インプレッション265,700248,400308,000
フォロワー数6,8706,9517,000
いいね数1,9001,5002,600
リンクのクリック数885888950
資料ダウンロード4512
問い合わせ102

KPIにリード獲得を加えよう

BtoBマーケティングにおいて、購入や申込をKPIに設定するのは一般的ですが、これには課題があります。取引のサイクルが長く、意思決定者が多いBtoBでは、実際の購入へ至る事例は少なく、KPIとしての購入件数は指数として少なすぎるのです。

そのため、効果的なX運用を目指す企業は、購入よりもリード獲得に注目し、KPIを設定しています。リードとは、見込み客のこと。Xを使って、ウェビナー参加資料請求などの形でリードを集めます。

リード獲得をKPIにすれば、Xでの活動がターゲットにどう影響しているかが明確になります。これにより、最終的な購入に結び付けるための改善点が見つかり、戦略のブラッシュアップが可能です。

結局のところ、リード獲得中心のKPI設定は、数字を追うだけでなく、顧客体験を向上させることにもつながるメリットがあります。

サービスの成約数よりも前段階のリード獲得を設定し、その数をKPIとする。

X(旧Twitter)アナリティクスを有効にする

Xアナリティクス開始

X上のアクセス解析をはじめるためには、Twitterアナリティクス設定が必要です。

アナリティクスに移動してアナリティクスを有効にするボタンを押しておきましょう。

X(旧Twitter)運用を行う

日々の運用は、以下の業務があります。

投稿・コメント返信・DM返信・いいね・リポスト・フォロー・KPI測定

投稿内容をリストにする

アカウント開設後は、「顧客が喜ぶ情報」「顧客のメリット」を意識して情報発信を行いましょう。投稿(ポスト)を直接行うのではなく、一旦、Excelやスプレッドにまとめて記入して予約投稿してください。

月初に、どんなポストがインプレッションを獲得できたか?反応率が高いポストの特徴などを分析します。

指名検索をする

自社の製品/サービスの認知がされている場合、自社の「会社名・ブランド名・製品名」で指名検索を行います。そうすることで、自社のファン層がポストしているものに反応を返すことができます。

それにより、一層顧客との距離を近くすることができます。

カール事務器の実例

実際に、わたしが購入した書見台の感想ポストを行ったところ、数日してカール事務器の公式アカウントからリポストといいねがされました。

顧客側からすると、リポストされるのはとてもうれしいものです。またこの会社の製品を購入したいという気持ちにさせてくれます。

Xポスト用のコンテンツを作る

X運用では、ただ情報発信の投稿を行うだけではなく、定期的に有益な情報を作成し、それを配信していくことで見込み顧客に効果的にアプローチできます。

ホワイトペーパー

BtoB企業では、見込み顧客が欲しがる情報をホワイトペーパーとして無料配布しましょう。

ただし、ホワイトペーパーは無料だから適当でいい、と思ってはいけません。顧客の信頼性を失わないよう本気の資料を準備することを心がけてください。

ウェビナー

BtoB企業では、イベント・ウェビナーの告知によって見込み顧客のフォロワー獲得を行いましょう。またインタラクティブなイベント・ウェビナーを開催することでファンが増えます。

業界成功事例の概要
SEOコンサル最新2023年のSEOウェビナー
日々変化するSEOの最新情報と、企業のweb担当者が聞いておくべきSEO情報をSEOの専門家が提供する。
ITソリューション業界専門家によるQ&Aセッション
顧客企業のITインフラやセキュリティに関する疑問や課題に対応するためのQ&Aセッションを開催。サイバーセキュリティ、クラウド移行、データ管理などのトピックに関する質問を事前に受け付け、セッション中にITの専門家がライブで解答し、ベストプラクティスを共有。

キャンペーン

BtoC企業では、見込み客とのコミュニケーションを促す新商品発売キャンペーン・コンテストなどの参加型キャンペーンを実施して、短期で認知拡大を行うのが理想です。

キャンペーンでプレゼント企画を行う場合は、景品表示法をしっかり把握しておきましょう。なお、商品購入等の金銭取引がなければ金額上限はありません。

以下は、SNSマーケティングにおける企業の成功事例の表です:

業界成功事例の概要
ホームセンターDIYホームデコレーションコンテスト
自宅で行ったDIYプロジェクトの写真コンテストを開催。参加者は自分のDIYプロジェクトの写真をX投稿する。景品には店内商品の割引やプレゼントを提供します。
食品メーカー週末の料理チャレンジ
週末に特定のレシピを挑戦する料理チャレンジの提案。参加者は提供されたレシピに基づいて料理を作り、その写真をハッシュタグと共にXに投稿する。優れた料理投稿には小さな賞品や割引クーポンが与えられます。
ITソリューション業界専門家によるQ&Aセッション
顧客企業のITインフラやセキュリティに関する疑問や課題に対応するためのQ&Aセッションを開催。サイバーセキュリティ、クラウド移行、データ管理などのトピックに関する質問を事前に受け付け、セッション中にITの専門家がライブで解答し、ベストプラクティスを共有。

まとめ

X(旧Twitter)での成功のコツは、目的意識を持ち、戦略を明確にすることです。誰に向けて情報発信を行うのか、途中で方向転換を簡単に実施してしまうと現場は混乱してしまいます。

このX運用マーケティング戦略を行えば、目的意識をチームで共有できてブレがなくなります。ターゲット意識を強く持ち、企業の目標に沿ったX(旧Twitter)運用を実現しましょう。

事例を見て学ぼう

実際にX(旧Twitter)企業アカウントを運営するために、中小企業の事例を見てみましょう。この記事では、公式アカウント・社員アカウントの連携手法など実際の運営ノウハウを学べます。

ポストしてくれるとうれしいです

この記事を書いた人

岩永 圭一のアバター 岩永 圭一 アルル制作所 代表取締役

2003年にECサイト「ウェディングアイテム」を立ち上げ、手作り結婚式を応援。年商3億円達成。2005年デザイン会社を設立。2社を譲渡後、2021年にアルル制作所を立ち上げ、オウンドメディア運営代行『記事スナイパー』を開始。これまで立ち上げた事業は、他にも中古ドメイン販売・キーワードツール・バー専門ホームページ制作・記事LP制作・レンタルスペース・撮影スタジオと多岐にわたる。

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