SEOと聞くと、「効果が見えにくい」「何をしているのか分からない」という不安なイメージを持つ方も多いでしょう。実際にSEO業者に依頼した場合、その具体的な作業内容が見えにくく、不安に感じる方が多いのも事実です。
この記事では、SEO業者が具体的にどのような作業を行うのか、なぜそれが必要なのかを分かりやすく説明します。
専門的な内容が少しありますが、何度か読み直していただくと、SEOを依頼する際に業者に対して要望を伝えることができ、業者選びにも役に立ちます。
SEOの基本概念
SEO(検索エンジン最適化・Search Engine Optimization)は、Googleなどの検索エンジンでWebサイトを上位に表示させるための施策を指します。これにより、Webサイトへの訪問者数を増やし、ビジネスの成長を促進します。
SEOでは、以下のような施策があります。
キーワード最適化 | ユーザーが検索する単語やフレーズをSEOツールやライバルサイトを調査して特定します。検索上位にサイトが表示するようにします。 |
---|---|
コンテンツ最適化 | 製品/サービス紹介ページの制作や、ブログでユーザーが求める情報の記事を執筆します。 |
技術的な最適化 | Webサイトの構造やコードを改善し、検索エンジンがサイトを理解しやすくします。 |
リンクビルディング | 企業PR活動を広報サイトに掲載したり、他の信頼性の高いサイトからリンクを取得し、サイトの権威を高めます。 |
SEO業者によって、リンクビルディングに特化していたり、Webマーケティングを軸とした売上アップを目指すSEOなど様々な事業形態があります。
SEOはなぜ必要か?
「Webサイトのデザインは素晴らしいけれど、検索結果にヒットしない」そういうWebサイトをよく見かけます。分かりやすい事例をご紹介します。
シンプルでかつ高い効果があるSEO施策が、ページタイトル設定です。以下は、「熊本 ペットサロン」で検索した結果の上位サイトです。
上画像のタイトルに、「熊本」「ペットサロン」というキーワードがタイトルに含まれているかどうかにご注目ください。
上の検索結果のタイトルを比較すると、
ページタイトルの形 | 特徴 |
---|---|
熊本+ペットサロン + 店舗名 | タイトルに検索キーワードが入っており、SEO効果が高い。 |
店舗名のみ | 店舗名しか含まれないため、検索上位に上がりにくい。 |
Googleが、WebページのHTMLファイルの中にあるタイトルタグを取得して検索結果のタイトルに反映することが多いので、タイトルの中に検索キーワードを追加すれば検索上位に表示しやすくなるのです。
Googleが検索結果の順位を決めていますので、その仕組み(アルゴリズム)に従って、Webサイトの情報を正しく検索結果に表示させることがSEOの目的になります。
Googleの検索順位を決める仕組みとは
検索エンジンの仕組み
Googleは、膨大な世界中のWebサイトデータを、クローラーという自動プログラムによって巡回し、データセンター施設にあるサーバーのデータベースに登録します。これをインデックス登録(Indexing)と呼んでいます。
Googleが決めた検索アルゴリズムを元に、検索キーワードごとにランキング形式でWebページ一覧が検索結果に表示されます。
クロール
クモが蜘蛛の巣を張り巡らせるように巡回するのでスパイダーと呼ばれることもあります。
インデックス登録
Googleの巨大なデータベース(インデックス)に追加されます。
検索結果の表示
インデックス登録されて初めて検索エンジンに表示されるようになります。
検索エンジンの仕組みを詳しく知りたい方は、Google公式の記事を読んでみてください。
検索順位を決めるアルゴリズムとは
最大大手Googleの検索エンジンの検索順位を決めている仕組み(アルゴリズム)は、200以上の指標があるとされています。記事の後半で、主なアルゴリズムを紹介します。単純に、検索キーワード対策を行えば検索順位が上がるわけではなく、ユーザーに評価されるべきWebサイトを目指すことが正しいSEOと言えます。
SEOって何をするの?
SEO全体の流れ
SEO作業を業者に依頼すると、Webサイトの現状分析から始まり、初期設定・SEO実施・KPI計測・改善活動のような流れでSEO作業が行われます。
SEOの作業内容
現状分析 – Webサイトの現状分析
Webサイトの現状分析では、アクセス状況、コンテンツの質の高さ、セキュリティ面、サイト表示速度などを分析します。webサイト以外にも、被リンク状況、Googleマイビジネスプロフィール状況などSEOに影響する指標も調査します。
アルル制作所では、Webサイトの状況を知りたい方向けに、無料Webサイト診断を行っています。(法人のみ)
初期設定 – イベント計測ツールの設置
Webサイトのアクセス状況を数値化して現状分析と改善活動を行うために、Google AnalyticsとSearch Consoleの設置を行います。
Google Analytics(GA4) | Webサイトのアクセス数 / ボタンクリック数・ページごとのアクセスランキングの計測 訪問者の地域・年齢・性別などの属性割合 問い合わせ数の計測 |
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Search Console | Google検索結果にWebサイトがどんな検索キーワードで表示されているのかを計測 検索エンジンへの登録状況やWebサイト表示速度などのWebサイト状況を監視 |
初期設定 – インデックス状況の確認
前章でお伝えしたGoogle検索の仕組みに従って、正しくインデックスされているか、検索で上位表示されているかをチェックします。
Google検索ステージ | SEO作業 |
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クロール | サイトマップ(sitemap.xml)を用意して巡回するWebページを指定します。 |
インデックス登録 | ・Webサイト内のページが、正しくインデックスされているか確認します。 ・低質/重複コンテンツは登録されないため、発見・改善を行います。 |
検索結果の表示 | ・どんな検索キーワードでWebサイトに訪れているのかを調べます。 ・検索順位計測ツールでSEO効果を測ったり、検索順位が落ちていないか監視を行います。 |
初期設定 – キーワード管理シートの作成
コンテンツが多い場合や、ブログでWebサイト全体のアクセス数を増やす施策の場合に、WebページごとにSEOで狙う検索キーワードやアクセス状況を管理するシートを作成します。
SEO実施 – 検索キーワードの調査
例えば、転職エージェント様であれば、転職しようとしている人(ターゲット)を集客したいので以下のようにターゲットの目的別に、複数の検索キーワードを調査します。検索意図ごとにカテゴリー分けしていきます。
転職 という言葉はすぐに思いつきますが、実際に検索を行う人は様々なリサーチを行って検索するので、思いもよらない単語を使います。そうした検索キーワードをリストアップするのにはSEOの経験値が必要です。
また、これらをリストアップするだけでなく、
- 月間に何回検索されるか(月間検索数)
- 検索上位獲得の難易度
- 事業売上への貢献度(価値)
を調べて提案します。
SEO実施 – 任意のキーワード順位を上げる
多くの人が「熊本 馬刺し」「入学式 洋服 レンタル」「ロードバイク 初心者 おすすめ」など、自社ビジネスに関連するキーワードでGoogle検索結果の上位を目指すことをSEOの目的と認識しています。これが一般的なSEOの手法です。
SEO実施 – Webサイト全体のアクセス数を増やす
特定のキーワードでの検索順位を上げるだけでなく、実際の検索では様々な言葉が使用されます。例えば、熊本の馬刺しを購入したい人は「熊本 馬刺し」以外にも「馬刺し 安い」「たてがみ 食べ方」「馬肉 刺身」など、多くのキーワードで検索します。
複数の検索キーワード対策を行う場合は、毎月の予算内でブログに記事を追加していきます。検索キーワードごとの検索順位状況を監視して、うまく上位表示していない場合は、リライト(執筆し直し)したり、内部リンクで関連するページ同士をつなげたりします。
Webサイト内のブログ記事を執筆して、多様なキーワードを上位表示させてWebサイト全体のアクセスを集めることができるのがメリットです。Webサイトのコンテンツを増やす手法で、コンテンツSEO、コンテンツマーケティングと呼ばれており、確実性の高いSEO対策になります。
SEO実施 – Webサイト全体の評価を高める
任意の検索キーワードの検索順位を上げるためには、一部のWebページだけではなくWebサイト全体の評価(ドメインパワーと呼んでいます)を高める必要があります。評価は、Googleが独自に行っており、ブラックボックスになっていますが公式ガイドラインを読み解くと以下の要素が含まれています。
- 他のWebサイトからの被リンク
- モバイル対応
- ページ表示速度
- 経験、専門性、権威性、信頼性
- コンテンツの量と質
- 検索する人の反応率のよさ
経験、専門性、権威性、信頼性の高め方
例として、経験、専門性、権威性、信頼性の高め方をご紹介します。
- Webサイトのテーマを統一して専門ジャンルを明確にする
- SSL化を行い、Webサイトの安全性を高める
- 運営者情報を詳細に記載する
- Googleビジネスプロフィールに登録する
- whois情報をwhois代行を使わず自社情報にする
- 専門家しか知りえない一次情報を発信する
- 自社のSNSを開設し情報発信を行う
- 会社名やブランド名で検索されるように知名度を高める
個人運営のブログよりも運営者情報が明記された企業のWebサイト、さらに行政機関のWebサイトが高く評価されます。
Googleは、会社概要ページから企業情報を取得します。構造化データと呼ばれる記述方法を使うことで正しい情報をGoogleに伝えることができます。
また、Googleビジネスプロフィール、SNSアカウントなどの企業名・住所・電話番号などそれぞれ一致させることでSEO以外にMEO、SNS評価につながります。
KPI測定 – 検索順位チェック
検索順位測定ツールを使用して、毎日の検索順位測定を行います。
KPI測定 – アクセス状況レポート作成(GA4レポート)
Google AnalyticsとSearch Consoleのデータをもとに、アクセス状況のレポートを作成します。アクセス数以外に、ユーザー属性やアクセスの多いWebページなどが把握できます。
SEOは多岐にわたる作業を含むため、理解しづらいものですが、結果として出る数値に基づいて対策を講じることで、効果的にSEOを進めることができます。
KPI測定 – KPI管理シートの作成
KPI(主要業績評価指標)管理シートを作成することで、月単位での状況変化を把握し、SEO施策やビジネスの目標達成に向けた指標を効果的に管理できます。以下は、例として提供されたKPI項目を含む管理シートのサンプルです。
KPI項目 | 2024/06 | 2024/07 | 2024/08 |
---|---|---|---|
自然検索アクセス | 800 | 900 | 1000 |
広告経由アクセス | 100 | 100 | 100 |
問い合わせページ表示 | 80 | 90 | 100 |
問い合わせ | 8 | 9 | 10 |
求人ページ表示 | 40 | 45 | 30 |
求人申し込み | 4 | 4 | 1 |
ビジネスプロフィールインタラクション | 40 | 50 | 60 |
SEOでのKPIの重要性
SEOでは、単に検索順位やアクセス数だけでなく、ビジネスの目標達成に寄与する指標を設けることが重要です。アクセス数が増加しても、それが実際のビジネス成果(例:売上、問い合わせ数)に結びつかなければ、ROI(投資対効果)が低くなります。以下の点が重要です。
- コンバージョンの測定: 問い合わせページの表示数や実際の問い合わせ数などの指標を含めることで、サイトの訪問者がどれだけアクションを起こしているかを把握できます。
- 中間指標の活用: 問い合わせページの表示数などの中間指標を使うことで、ボトルネックや改善点が明確になり、施策の効果が見えやすくなります。
- 重要ポイントの計測: Webサイト申込後の売上に直接影響する指標(例:電話申込数、面接数、採用数)も同じシートで管理することで、より具体的な成果を追跡できます。
数値化のメリット
KPIを数値化することで、ROI(投資利益率)を明確にし、売上アップを目的とした効果的なSEO対策が可能になります。また、社内チームでは「なんとなく」ではなく、正確な数字に基づいたディスカッションが行えるようになり、KPI管理シートをシェアすることで数値意識を高めることができます。
このように、KPI管理シートを作成し、具体的な指標を測定することで、SEO施策の効果を正確に評価し、ビジネス目標に結びつけることができます。
SEOの費用相場と依頼時の注意点
SEO費用相場とSEOを依頼する際の注意点をまとめました。
作業担当 | 作業内容 | 費用相場 |
---|---|---|
SEOコンサル | Web施策立案・KPI管理・アクセス解析・キーワード調査・検索順位測定・SEOアドバイス | 10~30万円/月 |
Webディレクション | SEO/リスティング運用/SNS運用/LP制作などの指揮を執る | プロジェクト費用の10~20% |
記事執筆代行 | Web集客と売上アップのためのブログ(オウンドメディア)に記事執筆を行う | 4~10円/文字 |
Webページ制作 | SEOに必要な場合、ランディングページ/Webページを追加する | 4~20万円/ページ |
スポット作業 | SEO作業を単発で行う | 5,000~20,000円/時間 |
レポート作成 | 毎月のアクセス分析レポート | 1~2万円/月 |
Webサーバー管理 | Webサーバー管理を委任しバックアップ作業を行う | 1~3万円/月 |
SEOコンサルの費用感と依頼時の注意点
Webサイトの集客について困っており、どういう施策を行えばいいか全く分からない。そんなときに、SEOコンサルを依頼します。SNSやMEOなども含めて相談したい場合には、Webマーケティング全体に精通しているWebコンサルかどうかを直接聞いて依頼するとよいでしょう。
Web集客の状況を数値化し、今後のWeb集客・売上アップ・求人など自社課題を共有することで、具体的なSEO施策を出します。チャットでいつでも相談でき、毎月のオンラインミーティングとKPI測定/アクセス状況レポートの提出などを行ってくれます。
SEOコンサルの費用は、1日(8時間稼働)あたり、4~10万程度を目安に考えておくとよいでしょう。月10万の契約であれば、月1ミーティング+SEO施策立案+SEO相談 といった具合です。
SEOコンサルの形態には、
- SEO施策立案と相談のみ
- SEO作業を自ら行う
- 外注手配と管理を行う
- Webディレクションを行う
と様々です。契約を行う前に必ず、作業範囲を確認して契約書に明記しましょう。
Webディレクターの費用感と依頼時の注意点
SEO施策の予算が約300万円を超える規模になると、半年から1年間で予算を組み、毎月予算に割り振ってプロジェクト型で行われるケースが多いです。
この場合、1プロジェクトにはSEO以外にも、リスティング/LP/プログラミング担当と、複数の担当者が参加するため、プロジェクトリーダーであるWebディレクターが必要になります。
Webディレクターの費用は、予算の中に組み込まれることがほとんどで、プロジェクト費用の10~20%程度が含まれていると考えてください。
プロジェクト型の場合、先に予算を分配して作業するため、費用に対して作業の中身を精査されづらい傾向にあります。そのため、作業実績(例えば、記事執筆なら先月何記事何文字アップされたのか)をWebディレクターに提出させてください。
SEOコンサルは、個別に契約しているケースが多く、依頼主寄りの人間ですが、Webディレクターは、プロジェクト受託側の人間であるケースがほとんどなので、実績精査が甘くなります。ある程度大きな予算のプロジェクトの場合には、依頼主寄りのWebコンサルを間に入れることをおすすめします。
記事執筆代行の費用感と依頼時の注意点
Webサイトのアクセス数を多く集めたい、業界シェアを取りたいという要望をかなえるSEO施策としておすすめなのが、コンテンツマーケティングです。コーポレートサイト(企業サイト)やブランドサイトに、ブログ(オウンドメディア)を設置して、記事を増やしていきます。
記事執筆代行の費用は、文字単価で計算される場合がほとんどで、4~10円程度です。高品質なコンテンツ作成で、現地取材を行い、記事作成する取材記事の場合は、1記事あたりの単価で計算されます。
記事執筆の作業範囲に、検索キーワード選定・月間検索数算出・記事構成作成・WordPress投稿・画像挿入・表やリストの挿入・内部リンク設置・装飾・トンマナ合わせ・校正などの費用が含まれていることを確認しましょう。
特に、検索キーワード選定が上手くないと、検索順位が上がらずアクセス数が増えません。
SEOの疑問
最後に、実際のお客さんとの対話の中で、SEOに関するご質問をまとめました。参考になれば幸いです。
Web制作会社でWebサイトをリニューアルしたが問い合わせが激減した
Web制作は、主にWebデザイナーとコーダーが担当しますが、どちらもWebサイトをデザインするのがメインの仕事で、SEO専門ではありません。
SEO知識を持ったコーダーさんもいらっしゃいますが、HTML/CSS/JavaScript/PHPなどコーディング知識も常に進化し続けている業界ですので、コーディング知識をメインに身につけなければいけません。同じようにSEO業界も常にGoogleが検索の仕組みをアップデートするので日々SEO知識を入手する必要があるのです。
餅は餅屋で、SEOには、知識の広さやアイデア、経験の差が結果につながります。このようなことから、Web制作には信頼できるSEO専門家のチェックを入れることが重要です。
特にリニューアルでは、これまでどんな検索キーワードで問い合わせを獲得していたかを調査し、Webサイトの情報が削除されないような引継ぎ作業が必須です。
SEOは自分でもできる?
検索順位を上げるためには、単純にキーワードを多く使ったり、関連するキーワードを追加するなどのWebページ修正だけではうまくいかないケースが多々あります。それは、検索順位があらゆる評価基準に影響されているからです。
Googleの検索アルゴリズムを理解した上で、現状分析を行い、最適なSEO対策を行う必要があります。
内部SEOと外部SEOって何?
サイト評価を上げる対策は、自社のWebサイト内部と外部に分けて「内部SEO」「外部SEO」と呼んでいます。
ページタイトルを変更したり、会社情報ページを追加するなどWebサイトのコンテンツ内容を変更するものを内部SEO、他社が運営するブログに紹介してもらったり、ヤフーニュースに掲載してもらうといった自社Webサイトの外の施策を外部SEOと呼んでいます。
SEOの費用対効果が見えないので困っています
SEOでは、作業時間や作業内容で請求しますが、実際のSEO効果を測るためには、アクセス数・ページビュー数といったWebサイトの訪問者数を測定しましょう。実際の売上アップには、その先のKPI数値管理も必要です。
数値化することでROI(投資利益率)を明確にし、売上アップを目的とした効果的なSEO対策が取れます。
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