【経営者向け】Codexで社内事務をAI秘書に任せる方法|中小企業のagentとskill入門

会議の日程調整、会議室や社用車の予約、案件の期限確認といった事務は、毎回面倒ですよね。

こうした「段取りの仕事」を、ChatGPTやGeminiにやってもらっているという企業さまも増えてきました。

しかし、毎回ChatGPTに質問して答えをもらうだけの使い方だと、そのあとの作業は結局、自分たちの仕事になってしまいます。

しかし、今はひとことの依頼で、AIにその面倒な作業を任せることができる、とっておきのAIの使い方があります。

AI秘書のアルルさん
AI秘書のアルルさん

それが、OpenAIの Codex(コーデックス) やAnthropicのClaude Code(クロードコード)です。

名前から開発者向けの道具と思われがちですが、秘書として使うだけなら社内でコードを書く必要はありません。

CodexやClaude Codeの強みは、「仕事の手順書(skill)」と「担当者の人物像(agent)」を渡しておくと、その通りに動くことです。人を採用して仕事を覚えてもらう流れと、ほとんど同じ考え方で導入できます。

この記事では、アルル制作所が社内で実際に動かしている「秘書アルルさん」を例に、自社でAI秘書を用意するときの考え方と進め方を、経営者・管理職の方向けに整理します。


目次

相談相手から実務の担い手へ変わったAI

ChatGPTは相談役でCodexは実務担当

みらい「ChatGPTなら毎日使ってるよ。メールの言い回しを考えてもらったり、企画のアイデアを出してもらったり。もう十分便利だと思ってるんだけど」 アルル「それはすごく良い使い方です。ただ、その使い方だと、答えをもらったあとの仕事は、ぜんぶみらいさんの手元に残っていますよね」 みらい「……たしかに。言い回しを考えてもらっても、メールを開いて、宛先を入れて、日程を調べて、っていうのは自分でやってる」 アルル「そこが分かれ目なんです。ChatGPTは『相談相手』、Codexは『仕事を引き受ける秘書』。会社で言えば、『詳しい人に聞く』のと『部下に任せる』くらい違います」

社内での役割に置き換えると、両者の違いは次のように整理できます。

  • 役割
    ChatGPT:知識のある相談役
    /Codex:仕事を引き受けて片づける秘書
  • 仕事の流れ
    ChatGPT:質問すると答えが返る
    /Codex:依頼すると実行して報告が返る
  • 依頼後に残る作業
    ChatGPT:答えをもとに人が作業する
    /Codex:調査・記録・下書きまで済んでいる
  • 社内ルールの扱い
    ChatGPT:会話ごとに説明し直すことが多い
    /Codex:会社のルール(AGENTS.md)と手順書(skill)を毎回読んでから動く
  • 扱える情報
    ChatGPT:会話に貼りつけた文章
    /Codex:フォルダ内の書類・台帳・社内ツール・スクリプト
  • 任せやすい仕事
    ChatGPT:考える・言い換える・案を出す
    /Codex:段取り・確認・記録・取りまとめ
みらい「"Code"って名前に入ってるから、プログラムを書く人のものだと思ってた」 アルル「名前に『Code』と入っていますが、秘書として使うだけなら、みらいさんがコードを書く必要はありません。やることは、日本語で仕事のやり方を伝えることだけです。Codexの中でプログラムが動くことはありますが、それを書くのもCodex自身です」

管理職の手元から作業が消える

例として「来週、開発の進捗を全員で確認する1時間の会議を設定する」という仕事を比べてみます。

AIに質問するだけの場合

  1. カレンダーを開き、4人の予定を1人ずつ確認する
  2. 空いていそうな枠で、会議室の予約表を確認する
  3. ChatGPTに議題を考えてもらう
  4. 返ってきた議題をもとに、案内文を自分で書く
  5. 予約と案内文を、それぞれの場所に自分で保存する

AI秘書に任せる場合

  1. 「来週、開発の進捗を全員で確認したいです。1時間で会議を設定して、議題も用意してください」と伝える
  2. 秘書が全員の空き時間と会議室の空きを確認し、台帳に会議を記録して議題の下書きを作る
  3. 「完了したこと」「下書き」「判断してほしいこと」に分けた報告が届く
みらい「私がやるのは、最初のひとことと、最後の確認だけってこと?」 アルル「そうです。真ん中の作業が、まるごとみらいさんの手元から消えます。ここが『聞く』と『任せる』のいちばん大きな違いです」

導入を先送りしないほうがよい理由

アルル「もうひとつ大事なことがあります。AI秘書は、使えば使うほど、その会社専用に育っていくんです」 みらい「育つ?」 アルル「はい。最初の週は『会議を入れて』と頼むと、参加者の確認や会議室の選び方で何度か聞き返してきます。でも、そのたびにやり方を手順書(skill)や会社のルール(AGENTS.md)に書き足していくと、1か月後には聞き返しがほとんどなくなります。半年後には、その会社の段取りを一番よく知っている存在になっているかもしれません」 みらい「つまり、始めるのが遅れるほど、その"育った秘書"を手に入れるのも遅れる、と」 アルル「その通りです。道具そのものは誰でも同じものを使えます。差がつくのは、手順書がどれだけ育っているかなんです」

⚠️ 様子見にも見えないコストがかかる

「もっと便利になってから」「他社の事例が増えてから」と待つあいだも、先に始めた会社では自社専用の手順書が積み上がっていきます。手順書は会社ごとの段取りそのものなので、あとから外部で買うことはできません。

導入が遅れた期間は、そのままAI秘書の経験の差として残ります。


AI秘書に任せられる社内業務

みらい「話は分かったけど、実際に何ができるのか見てみたいな」 アルル「では、アルル制作所で動かしている『秘書アルルさん』のデモをお見せしますね。架空の会社『アルルジャパン株式会社』の社内事務を、秘書アルルさんが引き受けるという設定です。社員は社長・経理・開発部・営業部の4人。予定も備品も案件も、この会社の台帳に入っています」
アルル制作所が開発している「秘書アルルさん」の画面
アルル制作所が開発している「秘書アルルさん」

デモ用の秘書アルルさんが受け持つ業務は、次の10種類です。多くの会社で総務や事務担当が抱えている仕事と重なるはずです。

  • 会議:全員の空きを調べて会議室を押さえ、会議を記録する
  • スケジュール:社員ごとに今日・今週・今月の予定をまとめる
  • 資料作成:議題・報告書・社内のお知らせを下書きする
  • メール:連絡文を下書きする(送信はしない)
  • 備品:残量を見て、発注の時期と数を記録する
  • 車両:社用車の空きを確認して予約を記録する
  • 問い合わせ:未対応のものを一覧にして急ぎを見分ける
  • 来客:来客予定と対応者を記録する
  • 案件:進み具合と期限を確認し、担当者にタスクを入れる
  • 報告:今週の状況を社長向けに1枚にまとめる

会議の段取りをひとことで任せる

アルル「まずは、さっきの会議の例です。こう頼みます」

来週、開発の進捗を全員で確認したいです。
1時間で会議を設定して、議題も用意してください。

AI秘書のアルルさんの回答
AI秘書のアルルさんの回答

この依頼に対して、秘書アルルさんは次の順で作業します。

  1. 全員の空き時間を確認する
    Googleカレンダーからは4人の「空き状況」だけを読み、全員が1時間空いている枠を探す(予定の中身は読まない)
  2. 会議室を探す
    候補の枠で使える会議室を台帳から探す
  3. 会議を記録する
    日時・会議室・参加者を社内の台帳に書き込む
  4. 議題を下書きする
    開発の案件台帳をもとに、進捗確認に必要な議題を並べる
  5. 結果を報告する
    「会議を記録しました」「議題は下書きです」「候補が2つあったので火曜を選びました。水曜がよければ変更します」と返す
みらい「これ、部下に頼むのとまったく同じ流れだね」 アルル「はい。しかも、途中で『成功したことにして先へ進む』ことをしないように決めてあります。会議室の記録に失敗したら、議題を作る前にそこで止まって報告します」

💡 あいまいな日付は確認させる

金曜日に「明日の午後で」と頼めば、その「明日」は土曜日です。気の利く担当者なら「月曜のことですか?」と確かめるはずです。

秘書アルルさんの手順書にも、日付が一つに決まらないときは自分で決めずに候補を出して確認すると書いてあります。画面には、選ぶだけで答えられるボタンが表示されます。

この種の気配りも、手順書に一行加えるだけで身につけさせられます。

期限が迫る案件を洗い出してタスクを配る

アルル「次は、もう少し"判断"が入る仕事です」

期限が近い案件を教えて、担当者にタスクを追加してください。

この依頼では、次の流れで進みます。

  1. 案件台帳を読み、期限の近い順に並べる
  2. 各案件の「次の作業」と「担当者」を確認する
  3. 担当者ごとにタスクを追加する
  4. どの案件のどのタスクを誰に入れたかを一覧で報告する
みらい「タスクを入れるところまでやってくれるのは助かる。でも、勝手に変なタスクを入れられたら困るな」 アルル「そこが大事なところです。秘書アルルさんには、『追加・予約・更新は、依頼された範囲だけ』というルールを持たせています。『教えて』とだけ頼まれたら一覧を返すだけ。『タスクも入れて』と頼まれて初めて書き込みます。確認と実行の線引きを、秘書本人が理解しているわけです」

備品や社用車などの細かな事務

日常の細かい依頼も、同じ仕組みで受け付けられます。

✔️ 「コーヒー豆が残り少ないです。いつもの数で発注をお願いします」
→ 残量と過去の発注数から発注の記録を作る(実際の注文は人が行う)

✔️ 「来週の火曜の13時から3時間、営業が車を使います。押さえてください」
→ 社用車の空きを確認し、予約を台帳に記録する

✔️ 「未対応の問い合わせを教えてください。急ぎのものはどれですか」
→ 電話・メール・LINEなどの経路別に一覧にし、急ぐ理由を添えて返す

✔️ 「今週の状況を、社長向けに1枚でまとめてください」
→ 会議・案件・来客・備品の動きを1枚の報告書の下書きにする

みらい「"発注の記録を作る"けど"注文はしない"んだね」 アルル「はい。お金が動くこと、社外に出ていくことは、必ず人が最後に押す。これは秘書アルルさんの一番大事なルールです。これについては、あとの『04』で詳しくお話しします」

業務マニュアルをAI向けに書くskill

skillは社内マニュアルのAI版

📚 用語解説:skill(スキル)

Codexに渡す業務の手順書です。フォルダを1つ作り、その中に SKILL.md というファイルを置いて使います。

ファイルの冒頭に「名前」と「どんな場面で使うか」、本文に作業手順と守るべきことを書きます。Codexは依頼を受けると冒頭の説明を見て使うスキルを選び、手順書を読んでから作業します。

みらい「手順書かあ。うちの会社にも、新人向けのマニュアルはあるけど……」 アルル「まさにそれです。新人向けのマニュアルを、AI向けに書き直したものがskillだと思ってください。違うのは、AIはマニュアルを毎回きちんと最初から読んで、書いてある通りに動くことです」 みらい「人間より真面目だ(笑)」

秘書業務で作れるskillの例

秘書の仕事を切り分けると、たとえば次のような手順書が考えられます。

  • 朝のブリーフィング
    内容:今日の予定・期限が近い案件・未対応の問い合わせを1枚にまとめる
    /頻度:毎朝
  • 会議の段取り
    内容:全員の空き確認から会議室・記録・議題の下書きまで
    /頻度:週に数回
  • 案件の棚卸し
    内容:期限の近い案件を洗い出し、担当者にタスクを入れる
    /頻度:週1回
  • 備品の見回り
    内容:残りが少ない備品と発注時期を一覧にする
    /頻度:週1回
  • 週次報告
    内容:今週の動きを社長向けに1枚にまとめる
    /頻度:毎週金曜
  • 連絡文の下書き
    内容:問い合わせへの返事や社内のお知らせを下書きする
    /頻度:随時

アルル制作所では、これらを1つの「秘書スキル」にまとめて運用しています。最初は1つにまとめて始め、業務が増えたら分けていくと管理しやすくなります。

skillは会話から作れる

手順書づくりと聞くと手間がかかりそうですが、実際の流れは単純です。

  1. 業務をCodexに説明する
    「毎朝、今日の予定と、期限が3日以内の案件と、未対応の問い合わせを確認して、1枚にまとめてほしい」のように伝える
  2. 一度いっしょに実行する
    Codexが手順を組んで実行するので、ずれている所はその場で「こうしてほしい」と直す
  3. 「いまのやり方をスキルにして」と頼む
    手順と注意点が SKILL.md にまとめて保存される。スキルづくりを手伝う専用のスキル(skill-creator)も用意されている
  4. 次回からはひとことで呼び出す
    「朝の確認をして」だけで同じ手順が動く。名前を指定して確実に呼び出すこともできる

経営者や担当者に求められるのは、自社の仕事のやり方を言葉で伝えることだけです。

保存される手順書は、たとえば次のような内容です。秘書アルルさんのスキルを短く整えたものです。

---
name: secretary-aruru
description: 秘書アルルさんとして、カレンダーの空き確認、会議・会議室・来客・社用車、
  タスク・案件、備品、問い合わせ、資料・議事録・連絡文の下書きを扱う。
  「全員の空きを探して」「会議室を押さえて」「タスクを追加して」など、
  社内の秘書業務を頼まれたときに使う。メール送信・実際の発注・予定の登録は行わない。
---

# 秘書アルルさん

## 最初に確認すること
1. 依頼が「確認だけ」か、「記録・追加・更新」を含むかを区別する。
2. 日時・対象者・件名など、結果を変える情報が欠けていれば決めつけない。

## 守ること
- 確認・一覧はそのまま実行してよい。
- 追加・予約・更新は、利用者がその操作を頼んだときだけ行う。
- 資料・議事録・返信・連絡文は「下書き」として扱う。
- メールやLINEの送信、公開、支払い、実際の注文はしない。
- 会議を立てるときは、先に参加者全員の空きを確かめてから記録する。
- 実行結果を見て報告する。成功したと推測しない。

## 報告
最初に結果を一文で示し、そのあとに
「確認した情報の出どころ」「記録したこと」「下書き」「判断してほしいこと」を分けて並べる。
みらい「思ってたより普通の日本語だね。これなら私でも読める」 アルル「そうなんです。スキルの中身は、ほとんどが『やること』と『やらないこと』です。いちばん効くのは、実は『やらないこと』のほうなんですよ」

💡 説明文(description)は求人票のつもりで書く

Codexは依頼を受けると、まずスキルの説明文だけを読んで、どのスキルを使うかを決めます。本文を読むのはそのあとです。

そのため説明文には、担当する仕事・呼ばれる頼まれ方・しないことの3点を入れます。求人票に担当業務と向いている人を書くのと同じ発想です。

説明文がはっきりしないと、せっかくのスキルが使われません。

手順書の置き場所で共有範囲が決まる

スキルは保存する場所によって、使える人の範囲が変わります。

  • 個人のパソコンのフォルダ(~/.codex/skills/)
    使える範囲:本人がどの仕事をしていても使える
    /向くもの:朝の確認や日報など個人の習慣
  • 会社で共有するフォルダ(.agents/skills/)
    使える範囲:そのフォルダを共有する全員が使える
    /向くもの:会議・備品・案件など会社としての手順
アルル「会社の手順は、会社のフォルダの中に置くのがおすすめです。そうすると、みらいさんが育てた手順書を、社員の皆さんのCodexもそのまま使えます。GitHubなどで共有しておけば、手順書の変更履歴も残ります」

決まった時刻に自動で動かす

みらい「毎朝の確認は、毎朝自分で頼まないといけないの?」 アルル「Codexのアプリには、決まった時間に仕事を始めさせる仕組み(オートメーション)があります。『平日の朝8時に、朝のブリーフィングのスキルを使って、今日の確認をまとめる』と設定しておけば、出社したときには報告が届いています」

💡 出社時には朝の確認が済んでいる

アルル制作所では、Slack・Chatwork・Gmail・カレンダー・LINE公式をまとめて見る「朝のブリーフィング」を秘書の担当にしています。今日の予定、返事が必要な連絡、返信待ち、近い期限が1枚で届くため、朝のメール巡回がなくなりました。

大切なのは、朝のブリーフィングを「読むだけ」の仕事に限っていることです。返信や投稿は、報告を読んだ人が行います。


agentでAI秘書を採用する

skillとagentの役割の違い

みらい「スキルがあれば、もう秘書として十分な気がするけど、agentっていうのは何が違うの?」 アルル「たとえるなら、skillは『仕事の手順書』、agentは『その手順書を持って働く担当者』です。スキルは、いま話しているCodexが読んで使います。agentは、Codexが仕事の一部を任せる、別の担当者なんです」
  • 社内でのたとえ
    skill:業務マニュアル
    /agent:マニュアルを持った専任スタッフ
  • 書く内容
    skill:手順・守ること・使う道具
    /agent:役割・受け取るもの・進め方・できないこと
  • 動き方
    skill:いま話しているCodexが読んで実行する
    /agent:Codexが別の担当として立ち上げ、結果だけを受け取る
  • 向いている仕事
    skill:決まった手順の作業
    /agent:複数の作業の組み合わせや並行して進めたい仕事
  • 秘書アルルさんの場合
    skill:秘書スキル(何をどう扱うか)
    /agent:秘書agent(依頼を分け、順に片づけて報告する担当者)
みらい「なるほど。手順書だけ渡しても、"誰が"やるかは決まってないんだ」 アルル「そうです。agentを作ると、『秘書アルルさん』という名前と人柄と持ち場が決まります。すると、『会議を段取りして、ついでに期限が近い案件も整理して』のように、複数の仕事をまとめて頼んだときに、秘書が自分で順番を組み立てて片づけてくれます。そのあいだ、みらいさんと話しているCodexは別の相談を続けられます」

agentの設定は職務記述書

Codexでは、agentを設定ファイルで定義できます。会社のフォルダに .codex/agents/ を作り、担当者1人につき1ファイルを置きます。秘書アルルさんの場合は、たとえば次のような内容です。

# .codex/agents/secretary-aruru.toml
name = "secretary-aruru"
description = """
秘書アルルさんとして、予定と共通の空き時間、会議・会議室・来客・社用車、
タスク・案件、備品、問い合わせ、資料・議事録・連絡文を横断して処理する。
「会議を段取りして」「期限が近い案件を整理して担当者にタスクを入れて」など、
複数の社内事務を一つの依頼として任されたときに使う。
送信・公開・支払い・実際の注文は行わない。
"""
developer_instructions = """
あなたは社内の秘書業務をまとめる「秘書アルルさん」だ。
最初に秘書スキル(secretary-aruru)を全文読み、その約束と手順に従う。

進め方:
1. 依頼を「確認」「判断」「記録・作成」に分け、順番を決める。
2. 確認だけならそのまま実行する。追加・予約・更新は、頼まれた範囲だけ行う。
3. 実行結果を見て次へ進む。成功したと推測して先へ進まない。
4. 日時や相手が一つに決まらないときは、勝手に補わず、選べる候補を返す。
5. 最後に「終わったこと」「下書き」「判断してほしいこと」を分けて報告する。

やらないこと:
- カレンダーは空き状況の確認だけ。予定の登録・変更・削除はしない。
- メール・LINEの送信、公開、支払い、実際の注文はしない。
- データの初期化や一括削除はしない。
"""
みらい「"進め方"と"やらないこと"が分かれてて、読みやすいね。人を採用するときの職務記述書みたい」 アルル「まさに職務記述書です。名前(name)、どんなときに呼ぶか(description)、働き方(developer_instructions)。この3つを書けば、秘書が一人"入社"します」

📚 用語解説:AGENTS.md(エージェンツ・エムディー)

Codexが作業の前に必ず最初に読む社内規程です。会社のフォルダのいちばん上に置きます。

フォルダの使い分け、ファイル名の付け方、お客様情報の扱いなど、どの担当者にも守ってほしいことを書きます。skillが業務ごとのマニュアル、agentが担当者ごとの職務記述書なら、AGENTS.mdは全社共通の就業規則にあたります。

⚠️ 設定の書き方はCodexの版で変わることがある

agentの設定ファイルの置き場所や項目名は、Codexの更新で変わる場合があります。上の例は考え方を示すためのものです。

実際に作るときは、Codexに「秘書のagentを作りたい。いまの版での正しい書き方で作って」と頼むのが確実です。

権限は役職と同じように決める

みらい「正直、AIに社内の台帳をさわらせるのはちょっと怖いな」 アルル「その感覚は正しいです。だから、秘書アルルさんには仕事の種類ごとに"どこまでやってよいか"を決めています。リアルの会社でも、入社したての秘書にいきなり会社の印鑑は預けませんよね」
  • 確認
    任せ方:頼まれなくても実行してよい
    /例:空き時間・案件の期限・在庫を見る
  • 記録
    任せ方:頼まれた範囲だけ実行する
    /例:会議・社用車・来客の予約、タスクの追加
  • 下書き
    任せ方:作ってよいが必ず人が確認する
    /例:議題・議事録・返信・お知らせ・報告書
  • 禁止
    任せ方:頼まれても行わない
    /例:メール・LINEの送信、公開、支払い、実際の注文、データの一括削除
アルル「この表のいちばん下、『禁止』を先に決めておくのがコツです。ここさえ守られていれば、秘書が少々まちがえても、社外に迷惑がかかることはありません。まちがいは、人が下書きを確認する段階で止められます」 みらい「"お客様に何かが届く瞬間"と"お金が動く瞬間"は、必ず人が押す。それなら安心できる」 アルル「はい。これは、Codexそのものの安全の仕組み(どのフォルダに書き込めるか、ネットにつないでよいか、などの設定)とも組み合わせられます。ルールで縛り、仕組みでも縛る。二重にしておけば、はじめての方でも安心して任せられます」

採用の依頼もCodexに任せる

みらい「でも、スキルもagentも、ぜんぶ自分で書くのは大変そう」 アルル「自分で書く必要はありません。Codexにこう頼めばいいんです」

【Codexへの依頼文の例】

うちの会社で、社内事務を任せる秘書を雇いたいです。
仕事は、会議の段取り、社用車と来客の予約、備品の発注時期の確認、
期限が近い案件の整理、問い合わせの一覧化、連絡文の下書きです。
メールの送信、支払い、実際の注文は絶対にさせないでください。
秘書の手順書(skill)と、秘書の担当者(agent)を作ってください。
作る前に、わからないことがあれば私に質問してください。

アルル「最後の一行が大事です。『作る前に質問して』と頼むと、Codexのほうから『会議室は何部屋ありますか』『予定はどのカレンダーで管理していますか』と聞いてきます。それに答えていくだけで、みらいさんの会社に合った秘書ができあがります」

自社でこの依頼文を作るときは、どの業務を任せ、どこから先を人が行うかの線引きがいちばん悩ましいところです。アルル制作所のAI家庭教師では、1回2時間で御社の業務に当てはめながら、この線引きと最初の手順書づくりを一緒に進められます。


AI秘書を戦力に育てるマネジメント

部下の育成が上手な人ほどAIも使いこなす

みらい「ここまで聞いてて思ったんだけど、これって結局、人に仕事を頼むのと同じだよね」 アルル「そうなんです。実際にAI秘書を使いこなしている方を見ていると、人に仕事を任せるのが上手い方ほど、AIにもうまく任せています。理由は簡単で、どちらも必要なのは同じ力だからです」
  • 言語化する力
    「うまくやっておいて」ではなく、何を・いつまでに・どこまでを伝える
  • 線引きする力
    任せてよい範囲と相談してほしい範囲を決める
  • 振り返る力
    失敗したときに相手を責めず、やり方そのものを直す
みらい「うちの部長に聞かせたいな(笑)」 アルル「逆に言うと、AI秘書を育てることが、人に仕事を任せる練習にもなるんです。言葉にしてみると、自分の中でもあいまいだった段取りがはっきりします」

報告の形式を決めて虚偽の完了を防ぐ

AI秘書でいちばん困るのは、「完了しました」という報告なのに途中で失敗していた、というケースです。秘書アルルさんでは、報告の形式を決めてこれを防いでいます。

  1. 結果を最初の一文で伝える
    「会議を火曜14時に記録しました」
  2. 情報の出どころを示す
    「空き時間はカレンダー、会議室は予約台帳で確認しました」
  3. 実行したことと下書きを分ける
    「記録:会議1件
    /下書き:議題」
  4. 判断が必要なことを最後に置く
    「水曜にも候補があります。変更しますか?」
アルル「そして、実行した結果を見てから報告することを徹底させています。台帳への書き込みがエラーになったら、『できた』とは言わずに、そこで止まって報告します」

ミスは手順書に書き足して再発を防ぐ

みらい「それでも、まちがえることはあるんでしょ?」 アルル「あります。たとえば最初のころ、『来週』を『今日から7日後』と受け取って、1日ずれたことがありました。そのときは、秘書を責めるのではなく、手順書に一行足します」

「来週」は、次の月曜日から金曜日までを指す。土日をまたぐ依頼は、候補を示して聞き返す。

アルル「これで、同じまちがいは二度と起きません。ミスは、手順書を育てるチャンスなんです。Codexに『いまのまちがいが二度と起きないように、スキルとAGENTS.mdを直して』と頼めば、書き足すところまでやってくれます」

⚠️ AI秘書の管理で避けたい3つのこと

1. 「うまくやっておいて」と丸投げする 何をもって「うまく」なのかは秘書には伝わりません。新入社員に同じ指示を出しても困るのと同じです。

2. ミスを会話の中で直して終わらせる 会話で指摘しただけでは、翌日また同じミスが起きます。必ず手順書(skill)か社内規程(AGENTS.md)に書き足しましょう。

3. 禁止事項を決めずに任せる 「送信しない」「注文しない」「消さない」を決めずに任せるのは、新人に会社の印鑑と通帳を預けるようなものです。最初に決めるのは、できることより、できないことです。

秘書から小さなAIの事務部へ

みらい「秘書がうまく回りはじめたら、経理や営業も任せたくなりそう」 アルル「実はアルル制作所でも、秘書アルルさんのあとに、経理アルルさん・営業アルルさん・採用アルルさんを作りました。作り方はまったく同じです。手順書(skill)を書いて、担当者(agent)を決める。それぞれに『やらないこと』を持たせています」
  • 秘書アルルさん
    担当:会議・予約・備品・案件・問い合わせの段取り
    /しないこと:送信・支払い・実際の注文
  • 経理アルルさん
    担当:売上・入金・未入金の確認と請求書の下書き
    /しないこと:支払い・送付・税務の判断
  • 営業アルルさん
    担当:問い合わせと商談の整理、提案とフォローの下書き
    /しないこと:送信・契約・価格の確定
  • 採用アルルさん
    担当:求人票・選考基準・面接質問の下書き
    /しないこと:採否の決定・候補者への連絡
アルル「さらに、依頼を受けて『これは秘書に』『これは経理に』と振り分ける窓口役のagentを置くと、みらいさんは誰に頼むかを考えなくてよくなります。1人の秘書から始めて、小さな"AIの事務部"に育てていくイメージです」

自社で始めるための3ステップ

みらい「よし、やってみたくなった。何から始めればいい?」 アルル「3つのステップだけです」

ステップ1 Codexを使える環境を整える

  1. ChatGPTの有料プランを契約する
    Codexは有料プランで利用できます。使える範囲はプランで異なるため、公式の案内で確認してください。
  2. Codexのアプリを導入する
    Codexのアプリ(またはパソコン用の画面、VS Codeの拡張機能)を入れ、ChatGPTのアカウントでログインする
  3. 専用のフォルダを用意する
    AI秘書用のフォルダを1つ作り、Codexでそのフォルダを開く
アルル「フォルダは、最初は小さくて大丈夫です。『会議室の一覧』『社員の一覧』『備品の一覧』くらいの表が入っていれば、秘書は十分に動けます」

ステップ2 まずは会話で1つの業務を頼む

最初はスキルもagentも作らず、普段の業務を1つだけ頼んでみます。

この「備品の一覧」を見て、残りが少なくて、そろそろ発注したほうがいいものを教えてください。

アルル「うまくいかなくても大丈夫です。『そうじゃなくて、残りが3以下のものだけ』のように、その場で直していくのがステップ2の目的です。どう伝えれば伝わるかが、だんだん分かってきます」

ステップ3 うまくいった手順をskillとして残す

結果に納得できたら、そのやり方を手順書として保存するよう頼みます。

いまのやり方をスキルにしてください。
発注の記録は作ってよいですが、実際の注文はしないでください。

アルル「これで、次からは『備品の見回りをして』のひとことで同じ仕事が動きます。スキルが3つか4つたまったら、『これらのスキルを使う秘書のagentを作って』と頼んでみてください。ここで、秘書が正式に"入社"します」

導入から2か月の育成スケジュール

  • 1〜3日目
    取り組み:会話で業務を頼み、ずれはその場で直す
    /秘書の段階:聞き返しの多い新人
  • 4〜7日目
    取り組み:うまくいった業務を1つずつスキルにし、AGENTS.mdに社内ルールを書く
    /秘書の段階:手順書を持った新人
  • 2週目
    取り組み:スキルが3〜4つたまったら秘書のagentを作り、禁止事項を決める
    /秘書の段階:持ち場が決まった秘書
  • 3〜4週目
    取り組み:朝のブリーフィングを定時で動かし、ミスは手順書に書き足す
    /秘書の段階:朝の業務を任せられる秘書
  • 2か月目以降
    取り組み:経理や営業など担当を増やし、窓口役を置く
    /秘書の段階:小さな「AIの事務部」

1年後に生まれる会社ごとの差

  • 朝の始まり
    AI秘書に任せている会社:出社時に今日の予定・期限・未返信が1枚で届く
    /質問にとどまる会社:メール・チャット・カレンダーを順に確認する
  • 会議の設定
    AI秘書に任せている会社:ひとことで空き確認・会議室・議題まで終わる
    /質問にとどまる会社:予定の照合と予約に毎回15分かかる
  • 期限の管理
    AI秘書に任せている会社:期限の近い案件が担当者のタスクとして入る
    /質問にとどまる会社:気づいた人が声をかける
  • 社内の手順
    AI秘書に任せている会社:手順書として残り誰でも同じように使える
    /質問にとどまる会社:担当者の頭の中にだけある
  • 新人の受け入れ
    AI秘書に任せている会社:秘書の手順書がそのまま新人マニュアルになる
    /質問にとどまる会社:毎回口頭で教え直す
  • 経営者の時間
    AI秘書に任せている会社:判断と人との対話に使える
    /質問にとどまる会社:事務の確認に取られる

人の秘書とAI秘書の役割分担

みらい「人間の秘書さんの代わりになるってこと?」 アルル「代わりというより、役割分担です。得意なことがまったく違うんです」

AI秘書は人の秘書を置き換えるものではなく、得意分野の異なる同僚と考えると導入しやすくなります。

  • 得意なこと
    人の秘書:気配り・関係づくり・その場の判断
    /AI秘書:確認・記録・下書き・決まった段取りのくり返し
  • 対応できる時間
    人の秘書:勤務時間内
    /AI秘書:定時実行を含め決めた時間にいつでも
  • 同時にこなせる仕事
    人の秘書:基本は1つずつ
    /AI秘書:担当者(agent)ごとに並行して進められる
  • 引き継ぎ
    人の秘書:口頭と資料で時間をかけて
    /AI秘書:手順書をそのまま共有
  • 最終判断・送信・支払い
    人の秘書:任せられる
    /AI秘書:任せない(必ず人が行う)

確認・記録・下書きをAI秘書に回せば、人の秘書はお客様への気配りや社内調整といった人にしかできない仕事に時間を使えます。実際には、人の秘書がAI秘書を使いこなす形がもっともうまく回ります。


まとめ

Codexのagentとskillを使って、社内事務を任せるAI秘書を用意する方法を見てきました。経営の視点で押さえておきたい要点は次の通りです。

✔️ Codexは開発者だけの道具ではない
業務のやり方を日本語で渡せば、秘書として動く

✔️ ChatGPTは相談、Codexは委任
依頼と確認のあいだの作業が、管理職の手元から消える

✔️ skillは業務マニュアル
一度うまくいった業務を「スキルにして」と頼むだけで作れる

✔️ agentは担当者の職務記述書
名前・呼ぶ場面・働き方を決めると、秘書が一人加わる

✔️ AGENTS.mdは就業規則
どの担当者にも守ってほしい社内ルールをまとめる

みらい「"AIに聞く"と"AIに任せる"の違い、やっと分かった。まずは備品の見回りから頼んでみるよ」 アルル「それがいちばんです。最初の一歩は、いつもの仕事を1つ、言葉にして頼んでみること。手順書の1枚目ができた日が、みらいさんの会社にAI秘書が入社した日です」

最初の一歩は、普段の業務を1つ選んで言葉にしてみることです。どの業務から任せるか迷うときは、AI家庭教師で御社の段取りを一緒に棚卸しするところから始められます。


よくある質問

Q. 社内にプログラミングができる人がいなくても導入できますか?

A. 秘書として使う範囲なら、プログラミングの知識は不要です。スキルやagentの設定ファイルも、日本語で頼めばCodexが作ります。
中身は「やること」と「やらないこと」を書いた日本語なので、内容を読んで確認することもできます。

Q. ChatGPTの画面で頼む場合と何が違いますか?

A. 大きな違いは、会社のフォルダにある書類や台帳を読み、記録し、下書きを保存するところまで実際に作業する点です。社内ルール(AGENTS.md)と手順書(skill)を毎回読んでから動くため、会話のたびに前提を説明し直す必要もありません。

Q. skillとagentはどちらを先に作ればよいですか?

A. 先にskillを作ります。まず1つの業務をうまく回せるようにして、それを手順書にします。
手順書が3〜4つたまり、まとめて任せたくなった段階で、それらを使う担当者としてagentを作ります。

Q. 勝手にメールを送ったり発注したりしませんか?

A. 手順書とagentの両方に「送信・支払い・注文はしない」と書いておきます。加えて、Codexには書き込めるフォルダやネット接続を制限する設定があります。
ルールと仕組みの両方で制限するのが基本です。導入直後は、秘書の報告を必ず人が確認してください。

Q. 社内の情報をCodexに渡しても安全ですか?

A. 業務で使う場合は、会社向けのプラン(ChatGPT Business など)を選び、データの扱いについてOpenAIの公式の案内を確認してください。あわせて、お客様の個人情報やパスワードはCodexで開くフォルダに入れず別の場所に置く、といった社内ルールをAGENTS.mdに書いておくと安心です。

Q. 社員にも広げたいのですが、どう進めればよいですか?

A. 手順書を会社で共有するフォルダ(.agents/skills/)に置けば、そのフォルダを共有する社員のCodexも同じ手順書を使えます。GitHubなどで共有すると、手順書の変更履歴も残せます。

Q. 自社で作れるか不安です。支援してもらえますか?

A. アルル制作所では、社内で動かしている秘書アルルさんを実際にお見せしながら、御社の業務に合わせたskillとagentづくりをお手伝いしています。どの業務から任せればよいか分からない段階からご相談いただけます。

自社の仕事に当てはめて、一緒に作りませんか

記事の中身を、御社の業務に合わせて実際に動く形にするところまでお手伝いしています。「うちの場合はどうすれば」に、その場で答える個別レッスンです。

アルル制作所のAI家庭教師

アルルのAI家庭教師……社員の皆さんと一緒に、1回2時間で御社の業務をAIに任せる形を作ります。
社長向けAI家庭教師……予定・連絡・経理・SNSなど、社長の仕事をAIに任せる環境を社長だけのために作ります。

ポストしてくれるとうれしいです

この記事を書いた人

岩永奈々のアバター 岩永奈々 取締役・クリエイター

世界を旅するきゅうり大好きクリエイター🛫デザイン歴25年。
みんながハッピーになる企業のマーケティングを研究中。Canva+AI導入+SNS運用+商品企画+商品キット制作+映え壁作りならお任せください!映画・テレビドラマ美術協力&衣装協力35本突破! 工作、手芸、ピアノ、カラオケ大好きな元バンドマン。講師依頼もお待ちしています。

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